{故郷は弱肉強食①}
引っ越しも落ち着いたある日の事…
「我望む、三角筋を鍛えし負荷100の器具!!!」
少し大袈裟なポーズで叫ぶアルドラ。
「ウ、ウゴぅ!!………ゴゴオオオッ!」
ゴーレムは即座にショルダープレス的なマシンへと姿を変える。
「どりゃぁぁああああ!!」
苦悶の表情で3セットをこなす、ほぼ裸のアルドラ。
俺はいつも通り、軽いダンベルで筋トレをしている風を装い、死んだ目でそれを見守る。
「我望む、大殿筋を鍛えし負荷150の器具!!!
「ウゴぅ!!………ゴゴオオオッ!」
瞬く間に魔法生物は割とマニアックなマシン、ヒップアブダクターに変化した。
「ふぬぅぅぅううううううッ!!」
恍惚の表情で3セットをこなす、ギリギリ股間を隠す腰布一枚のアルドラ。
セスは退屈そうに欠伸をしながら後ろ足で耳の後ろを掻いている。
「むふぅ…、やはりお主は素晴らしい、、、素晴らしいぞぉ、、、、!」
キラッと白い歯をのぞかせてゴーレムを褒め称える。
「ウゴォ、ウゴ…ウゴ…」
ゴーレムは額の汗をぬぐうポーズをとりながら満足気に頷く。
ってお前は何もしてないからな!!
「さて…、鍛錬によって怒張した我が肉体を映してみよ鏡…」
ネットリとした視線を感じ、一瞬ビクッと動揺する古代の至宝。
「やめろキモイ」
鏡は答えた。
「照れおってからに…」
はいここまでがテンプレです。
アルドラは両腕を上げ、ガッツポーズ。
ダブルバイセップスポーズで威嚇した後、クルリと180度反転し、
バックダブルバイセップスに移行。
先程鍛えた肩と尻の部位をアピールする。
「鏡よ!どうだ!この圧倒的な筋肉量!」
「うん不愉快」
鮸膠も無くあしらう【夢幻の綸溝】
「良く見るがいい!ほれ!ほ~れ!」
バックポーズのまま器用に鏡へとにじり寄るアルドラ。
「よせ!じりじり迫ってくるな!おい!」
焦る鏡。
「大殿筋の筋繊維が見てとれるであろう?」
言いながらアルドラは尻を覆っていた腰布を捲り上げる
「ぎゃーー!それ以上近づくな!」
絶叫する鏡。
ピとっ
尻が鏡面に接触した。
「おええええぇぇぇぇぇ」
俺、吐瀉する鏡、初めて見たよ………




