《ビボ肉じゅるり☆⑦》
エヴァンスが調合した石化解除ポーションは確実に5名を蘇生させた。
石化した部位に少量かける。
すると、体表に付着した砂粒を吐息で優しく吹き飛ばすかの如く、サラサラと光の粒子が散り、血の通う肉体へと還元してゆく様は、見事としか言いようが無い。
そもそも材料が高価な上に、卓越した配合知識、魔力の付与に繊細さが要求され、最も難易度が高い薬剤の1つなのだ。
1人目は詠唱中に石化。
2人目は右手で怪光線を防ごうと前に出し、苦悶の表情を浮かべるその姿はまるで歌舞伎役者。
3人目は逃げ出した瞬間転んだようで無様な姿勢を晒していた。
4人目は地べたに座り込んで絶叫しており、股下から地面にかけて石化が広がっていたので恐らく小便チビッてる。
皆気を付けような。ションベンも石化するんだぜ…
5人目は潔く諦めたらしく、さながらどこぞの芸術家が制作した彫像の様にポーズを決めていた。
………大丈夫か、この国の宮廷魔導士ども…。
マーヴィックも片手で顔を隠し、えらく落胆している様子。
俺は、慰めるべく肩をポンポンと叩いた。
エヴァンスが救出組に水筒を渡したり、5名に不調が無いか等のケアを終えると、
俺たちはアルドラの【帰還の巻物】で拠点へ戻った。
俺の身体から離れようとしない2体の子ビボルダーと共に。
────────────────── ビボ肉じゅるり☆・終




