《ビボ肉じゅるり☆⑤》
一瞬の静寂…
クルリッ
何事も無かったかの様に俺たちに向きを変えるビボルダー。
巨大な目を更に見開き、襲撃者たちを見据える。
「マズいッ、魔法を無効化してきている!俺たちは戦力にならん!」
マーヴィックとエヴァンスはローブで禍々しい視線を遮ろうとするが無意味だった。
魔術を発動すべく編み上げる魔素そのものが周囲から消失している。
ヤバい…このままでは触手の怪光線で全滅するっ!!
戦慄を覚えた瞬間。
ドゴォっ!!!
ビボルダーの左側頭部が鈍い衝撃音と共に盛り上がる。
もんどりうって吹き飛ぶビボルダー。
続け様に
ボゴぉッ!、ドォォンッ!!
と連撃が体内から繰り出される。
面白い様に弾むビボルダー。
ビーっ!ビビーッ!
触手の眼球が無作為に怪光線を乱れ撃つ。
「あ、あぶね!!」
すんでのところで躱す。
弾む巨大な球体。踊る様に身を翻す男たち…
もう残念過ぎる光景だ。
モンスターはやがて、地面に落ち、動かなくなった…
「アルドラ、大丈夫か」
セスが心配そうに駆け寄る。
俺たちも、ビボルダーの死を確認しつつ様子を窺う。
ヌボッ!!!
突如、ビボルダーの眼窩からアルドラが頭だけ出した。
「ふむ」
ふむ、じゃねぇ!顔だけ出して真面目な表情をするなっ!
「この潤い…、シットリとした保湿力…、甘酸っぱい香り………
これは良いゾ!!」
年齢肌が欲する基礎化粧品!!?
ブリュンッ
汚い排泄音と共にヌラヌラと粘液まみれのアルドラが出てきた。
湿った腰布に手を入れると、そこから空の革製水筒を5つ取り出す。
あんた21世紀からきたの!?猫型ロボットなの!!??
ボケの連続でツッコミが追いつかないわ!
「セス、クリフ、これにビボルダーの体液を詰めておいてくれ」
「おう」
セス…お前も少しはリアクション見せろーっ!従順すぎるだろ。
「俺たちはその間に、マー君の仲間たちを救出してくる」
アルドラ達3人が歩き出そうとしたその時だった。
ブボッ!
ブボッ!
2回の炸裂音と共に、ビボルダーの底部から2つの白い球体が排出された。
「っ!?………う、ウ〇コ!?!?!?」
既存の概念を打ち破る怪現象の連続にエヴァンスが卒倒した。




