序
皆さんはじめまして、爻北紅花です。
まだまだ拙い文章ではありますがどうか楽しんでお読みください。一つの話がとても短いのですが、これは仕様です。決して文章が浮かばないわけではありません。まじで。
この街の夜は酷く五月蝿い。カンカンとけたたましく鳴る信号、ごった返すような人混みのざわめく声、階段を駆け上がるせわしい足音。中枢都市であるこの街にはとにかく多くの人が集まるのだ。極めつけは…ほぉら来た、この街のシンボル、蒸気機関車のお出ましだ。ガタゴトと体を揺らして走ってきては煙と蒸気を吐き出してまた次の街へと走ってゆく。騒音に顔をしかめながらも私は今日も仕事をこなす。私は桜花、この街で車掌をしている。切符を受け取り、改札鋏でパチンと食らわせすぐ返し、また受け取っての繰り返し。まったく、皆が憧れるこの職はそれほどまでにいいものなのか?車掌である私には皆の考えが分からない。皆も私の気持ちを分かれない。
車掌の仕事なんて切符の受け渡し、発車と到着の案内、それと夜魔の処理ぐらいだ。夜魔と言うのは…
「夜魔だ!夜魔が出たぞ!」
おっと早速仕事のようだ。私は腰に下げた刀を抜く。
「夜魔の出現、搭乗される方は一刻も早くお乗り下さい。繰り返します。夜魔の出現により搭乗される方は一刻も早くお乗り下さい。」
この夜魔は「壱式」か、今回は怪我なく終わりそうだ。刀を構え夜魔のもとへ駆ける。一気に距離を詰められた夜魔は困惑し離れようとするが、すかさず前方を薙ぐ。腕を落とされた夜魔は奇っ怪な顔を更に歪め闇雲に攻撃するが無駄だ。足元を一閃、転がる夜魔の腹へ蹴りを食らわす。夜魔は苦痛に満ちた顔で泣き叫ぶ。この顔だ。どんな悪者も最期はこの顔を見せるんだ。
「あぁ、五月蝿い」
刀を振り下ろすと夜魔は黒ぐろとしたもやに変わり、闇に消えていった。夜魔の存在は消えようとも喰われた人間は戻って来ず、わたしの頬を汚す赤黒い血は亡骸と共には消えずに残る。もちろん夜魔を殺めた感触も残り続ける。今まで殺めた数だけ心を蝕んでゆく。
「車掌さんありがとう!」
子供達が無垢な笑顔でこちらを見上げ、礼の言葉を口にする。私には感謝される資格などないのに。
「…間もなく出発致します」
あぁ、五月蝿い。ガタゴトと走る機関車の揺れが、私の止まらない手の震えを隠した。
どうも、爻北紅花です。どうでしたか?「煙ノ街ノ桜花」の世界は?私の文章力や語彙力のせいで伝わりきらない点も多々あると思いますが暖かく見守ってください。次回は夜魔の詳細(専門用語や姿など)か、桜花に関するエピソードを書こうかと思ってます。ここまでお読み頂き本当に感謝です。それではまた。