日間ランキングが良い所とは限らない!?
日間ランキング。
それは”小説家になろう”で今一番旬な小説が集う場であり、そして一番注目を浴びる事ができる場所。
その舞台に一度上がれば信じられないほどのブックマークと評価がもらえる。
作者にとってはまさに夢の舞台。
しかし、その一見華やかに見える日間ランキングに実は落とし穴がある事を皆さんはご存知でしょうか?
日間ランキングに載った人がたどる道として3パターンに分けてみました。
①日間上位にいって膨大なポイントを獲得して累計や年間ランキングに載る
②日間上位にいって多くのポイントを獲得して週間や月間ランキングに載る
③日間上位にはいけず、ある順位まで達したら順位が落ちていき、日間ランキングから落ちてしまう
日間ランキングという舞台に立つことが出来れば、確かに人目にはつきます。
ですが、読んでくれた方がブックマークや評価をしてくれなければ、決して日間ランキングの上位に行くことはできません。
日間ランキングを読む多くの人々に気に入られた小説だけが日間上位に行くことができるのです。
それは当たり前のように思われるかもしれませんが、それって結構残酷な事なんです。
私はいくつか作品を執筆した事がありますが、そのような③のパターンになったものは二作品あります。
まず一作品目は『異世界で魔物生活』という物語です。
私の初作品でした。
まだ小説を書き始めて間もないという事もあり、小説の書き方にも言い回しにもかなり粗があった作品でした。
それでもブックマーク40件ほどの時になぜか急にブックマークが急増し、日間ランキングに載ったのです。
恐らくどこかで私の作品が紹介されたか何かでブックマークが増えたのでしょう。
ですが、日間ランキングは甘くありませんでした。
日間ランキングに載ってからはほとんどブックマークは増えず、一日もしないうちに日間ランキング圏外に。
ブックマークはその段階で40→110件ほどの変化でした。
短期間にブックマークが70件も増えたので、確かに日間ランキングの力は凄まじいです。
ですがこの作品の最終的なブックマーク数が390件ということを考えると、日間ランキングの恩恵よりかは長年連載を続けたブックマークの方がはるかに多いのではないかと。
つまりあまり日間ランキングの恩恵はこの作品では受けられなかったという事です。
ちなみに一年以上に渡って連載を続けてきたこの作品が再び日間ランキングに載ることはありませんでした。
二作品目は『言語魔法で異世界を駆け抜ける』という物語です。
この作品を書いている時はだいぶ執筆にも慣れてきて、”小説家になろう”の仕組みもある程度理解できている時期でした。
日間ランキングに載るには一日に一定以上のポイントを稼げば良い。
その為に、盛り上がり部分を一日に複数話投稿することで一日にまとまったブックマークや評価を得られれば、日間ランキングに載れる事を知っていました。
実際、この力技を使うことで作品を日間ランキングに載せることができました。
ですが、日間ランキングに載ってからはランキングをある程度上がったものの、100位付近で伸びが止まってしまいました。
そしてそのままランキングは下降して、ランキング圏外に。
最終的なブックマークは320件ほどでした。
この③のパターンになってしまった時の残酷な部分は、自分の作品の限界が分かってしまうことです。
人目についても評価されない。
もうこれ以上の評価をされることがない。
その事を意識してしまうと今後の執筆意欲の低下をもたらし、しまいにはエタる(作品を完結させないまま執筆を止めてしまう)ことにつながってしまいます。
もちろん例外もありますが、その例外になることができるのはごく一部の作品だけです。
私の場合は幸い、一作品目の時はまだ仕組みをよく分かっていなかったからこそ、その負の意識を持つことなく書き続ける事ができました。
そして二作品目はランキングに載っている時にもう完結させてしまったから問題なかったのです。
それがもしも、作品を書き始めたばかりの時、もしくはまだ完結まで遠い作品に起こったらどうでしょうか?
人目についても評価されない作品という烙印が押されているのです。
もし自分が面白いと思って作品を書き続けたとしても、果たしてぶれずに楽しんで執筆できるでしょうか?
できたとしても、その事を思えばかなりの苦しみを伴う執筆になることは想像に難くないと思います。
では③のパターンよりも成功したパターン、②のパターンではどうでしょう。
私の作品の中で②のパターンになったものは一作品だけあります。
『ゴブリン、頑張って生きる。』という作品です。
この作品は最高で日間ランキング二位まで駆け上がりました。
日間ランキングの中でもトップ5はとても目につくので、ブックマークの伸びも凄まじい。
日間ランキングに載っている間に結局ブックマークは7500ほどまで増えました。
それほどの評価を頂いたので、週間ランキングに載ったり、月間ランキングにもランクインしました。
それだけを見れば、大きな成功をおさめたと言えるかもしれません。
しかし、この話には続きがあるのです。
確かにこの作品には多くの評価を頂きました。
ランキングが下がっても一ヶ月近くは日間ランキングに載り続けました。
ですがそれでも、年間ランキングや累計ランキングには載りませんでした。
そんな作品が日間ランキング圏外になってしまったらどうなるか?
それはまさに地獄でした。
作品を更新してもブックマークが減る。
更新しなくてもブックマークが減る。
つまり、更新しても何しても現状よりも悪い評価になってしまうのです。
そうなるのも無理もありません。
日間ランキングに載ればブックマークをとりあえずつける人も多い。
それは裏を返せば、簡単にブックマークを外す人も多いのです。
更新をすることで、ブックマークを外し忘れていた人が外したり、展開に気に入らない人がブックマークを外すこともあるでしょう。
そしてランキング圏外になってしまったことにより、新規に読み始める読者の数が少なくなる。
こうして、更新してもブックマークが減り続けるという状況に陥ってしまうのです。
結局それから半年以上頑張りましたが、ブックマークは7500→6700に減少。
先の物語を考えてはいても、物語を書く意欲が減退し、書き続けられない状況に陥っています。
したがって、②または③になってしまった場合、作品を書き続けるという観点から見れば、ランキングに載らない時よりも難易度が高くなると思うのです。
もちろんこれは個人的な見解なので、ブックマークが減り続けてもブックマークが多い事に満足する人もいるでしょうし、人によるとは思いますが。
では日間ランキングに載らない方が良いのか?
そんな事はありません。
①の場合はまた話が違ってくるのです。
①に該当する作品を私は持っていないので、あくまで想像の話になる事だけご了承下さい。
もし年間ランキング、累計ランキングに載った場合、そのランキングから長期間消え去ることはなくなります。
というのも、月間ランキングは一ヶ月経てば獲得ポイントが消えてしまいますが、年間ランキングになれば一年間は獲得ポイントが消えることはありません。
言い換えれば、年間ランキングに載ったら一年間ランキングに載り続けることも可能なのです!
ランキングに載り続けていれば、ランキングから絶えず新規読者が流入します。
するとブックマークを外す以上の読者が流入し続ければ、更新してもブックマークは減るどころかむしろ増えます。
つまり、更新する楽しみを維持できるのです!
ブックマークが多くついた状態で、そのまま多くの読者の人に楽しんで更新を読んでもらえる。
するとどうでしょう。
人が人を呼び、ポイントは増え続け、やがては累計ランキングにランクインできる可能性が高まります。
累計ランキングにさえ載ってしまえば、余程の事がない限り、ずっとランキングから外れる事がないでしょう。
そして後は更新する、ブックマーク増える、そういった正のループが続きます。
なので、①ほど成功する事ができれば、日間ランキングに載る事が今後の執筆活動をする意欲を掻き立てることにもつながるのです!
ただ、ここでまたもや落とし穴が。
”小説家になろう”では最近、ジャンルの再編が行われました。
するとランキングページを開くとジャンル別ランキングが表示されるようになり、日間ランキングにいくにはワンクリックする必要があるようになりました。
昔はランキングページを開くとトップに日間ランキングのページが開かれていたのにも関わらず。
するとその手間があるからか、分かりにくくなったからか。
最近の日間ランキングトップ層に入るポイントが以前よりも明らかに少なくなっているのです!
昔の日間トップ5はみんな3000ポイント前後を獲得していたことも珍しくありませんでした。
ですが今や1位ですら2000ポイント台、1000ポイント台の時も出てきています。
つまり、トップ層のポイントデフレが起きているのです!
するとどうなるか。
私がパターン別に分けた①に入るには少なくとも年間ランキングに入る必要があります。
ですが、ポイントデフレを起こしている今、日間1位になっても、昔ほどポイントが稼げません。
そうなれば、ポイントデフレが当たり前になっている月間ランキングにまでは載れても、年間ランキングに載るまでには届かない。
年間ランキングにはポイントインフレしている時期の作品でほとんど占められていますからね。
つまり、②にはなりやすくても、①にはなりにくくなっているというのが現状なのです!
ポイントデフレがこのまま続いて一年間現状が続けば年間ランキングに載っている作品も切り替わって話は変わってくるかもしれませんが……
でも当分先の事ですよね。
もちろん例外はあります。
このポイントデフレの現状であっても、1万を超えるブックマークを獲得する作者さんもいらっしゃいますから、そこまで実力のある人であれば問題にならないでしょう。
また、非異世界転生・転移のジャンル別日間ランキングが目立ちやすくなったので、そこに載り続けられれば話は変わるかもしれません。
ですが以前よりもトップ層がポイントを稼ぎにくくなったという流れは現状あると思います。
そしてさらに逆境に立たされているのが、異世界転生・転移の物語です!
異世界転生・転移ランキングに入るには日間ランキングよりも多くのポイントを稼がないといけないので、作者的にはあまり旨みはないと思います。
総合日間ランキングから落ちるイコール、異世界転生・転移ランキングからも落ちることになる訳ですから。
異世界転生・転移ランキングは目立ちません。
開くにはワンクリック必要ですし、それをするくらいなら日間総合ランキングを開きそうな気がする為です。
つまり、異世界転生・転移の作品の場合、日間ランキングに載っている間に年間ランキングに載るしかない!
このポイントデフレの時代に。
それって何という無理ゲー……。
なので私は日間ランキングに載せようと頑張って連投することがなくなりました。
むしろ日間ランキングに載せたくないと考えていたり。
②や③のパターンになって執筆意欲が低下する事はできるだけ避けたいですからね。
ただブックマークや評価自体は欲しいので評価停止などはしないんですけれど。(なんてワガママな!)
自分の作品に伸びしろがあると思えないと執筆意欲が湧かないですから……。
幸い異世界転生作品で日間ランキングに載るには80ptも必要ですから、余程の事がない限りランキングには載らないかと。
ランキングに載らずにひっそりと連載を続け、知る人ぞ知る面白い小説を書くことが今の目標です。
そんな訳で、異世界転生ものが好きな私にとっては読者としても作者としても逆風が吹いてきた形になりました。
小説を書いている皆さん。
特に異世界転生・転移ものの作品を書いている皆さん!
こんな状況ではありますが、めげずに頑張ってください!
とある一作者兼読者より。