第9話 校長、緊急召集
「はい、えぇ、わかりました。」
「明日ですね。伺います。」
(一体、何かしら…やっぱり、ここ最近の異変に気付いたのかしら…)
(他の学校でも同じことが…)
一夜明け、校長は現地へ向かった。
他の学校の校長や学園長達6人が、重々しい空気の中待っていた。
「皆さん、揃いましたね。では、これより緊急会議を始めたいと思います。」
会議の号令をかけたのは、飛鳥学園の校長。牧。ぽっちゃりした、ぽってりしたお腹が中年太りを思わせる。
他の4人を説明すると、黒髪の細身の男が瀬戸高校の校長。瀬戸。
オールバックの眼つきの鋭い男が、九頭竜学院の、九十九。
まだ若く見える、女の子のような人は、聖アスラ学院の、榛名。
最後に、私の隣にいるこの不思議な魅力に包まれた女性は、仁藤高校の、乃葵。
「今日、集まってもらったのは、最近になって、神と呼ばれた物達が各地で力を取り戻しているという事が1つ。」
「その原因を調べている訳だが、どうやら我々が悪魔達を封印している、六芒星の結界がバランスを崩しているという事が1つ」
「以上の2点だが、何か心当たりのある方はいるかね?」
九十九が口を開く。
「たまたまタイミングが合ってただけじゃないのかい?復活なんて前からあっただろうが?」
「結界のバランスは知らんけどな…」
瀬戸も話し出す。
「気になるのは、復活した物達が、以前より力を付けてる事だね。」
「うちの生徒達も、かなり力を付けてるね。」
「わたくしの生徒達も、言われてみれば、結構いるわね」
「あたしの生徒達もだにゃー。」
乃葵と榛名も同時に口を開く。
「清廉の方はどうなんだい?」
「私の学園も多いわよ。ただ、そこまで力が戻っているとは言い難いわ…」
(十二神の事は言わない方がいいわね…)
「結界については、わからないわね…まあ、下とのバランスは悪くなってる可能性はあるのかしらね。」
「今回はこの2つの状況確認をしたくて集まってもらった訳だが、六芒星の結界だけは崩してはならんからな…お互い気を付けるように!」
「では、解散!」
会議も終わり帰り道…乃葵が話しかけてきた。
「清廉さん、ちょっといいかしら?」
「何かしら?乃葵さん。」
「六芒星の結界の事なんですが、私達が独自に調べた所、何者かが干渉してきているようです。」
「普通なら、結界が崩される事は無いわ。」
「何が言いたいの?」
「一言でいうなら、私達6人の中に、裏切り者がいる可能性が高いわ。誰だかはまだわからないけれど。」
「何故、それを私に?」
「貴女は一番、信用できそうだから。昔から知っているけど、裏でコソコソするタイプじゃないでしょ?」
「よく、おわかりで。ウフフ。」
しばしの談笑の後、2人は分かれた。その帰り道、何者かに後ろから、誰かが近寄ってくる事に気づく。
「誰かしら?私の後をつけてるのは?」
“流石、セイレーン。私に気付くとは。私はアンドロマリウス…ソロモン72柱が1人…”
「あら、悪魔の方が何の用かしら?」
(人に乗り移らず話しかけてくるなんて、珍しいわね…)
“我々、悪魔達は何者かによって、力を取り戻している。人に乗り移らなくても行動できるまでになった。”
「それで、私に何か用?ここで戦うのかしら?」
“私は、お前と交渉しに来ただけだ。争いには興味ない。”
“お前の悪魔のような力を私達の為に使わないか?”
“人を惑わせ、迷わす力を…”
「あら、随分と甘く見られたものね…これでも今は、神の一族…貴方達に力を貸す気は無いわ…」
“そうか、残念だ…交渉は決裂した…今後はお前達を敵とみなす。”
そう言うと悪魔は姿を消した。
(まずいわね、72柱が復活しているなんて…結界の力がだいぶ弱まっている証拠ね…)