第4話 アテナとニケ
学校も終わり家に着いた透。両親に今日あった出来事を話す。朝の話しをもう少し詳しく聞いてみたが、結局は実際に体験しないとわからない、という事だった。
1日色々ありすぎて、疲れていたのだろう…自分の部屋に戻ると、倒れるかのように眠りについた。
「君が、私の主か…」
「少々頼り無さそうだな…」
「体の方は健康そうだ…」
「器にしては物足りないが我慢しよう…」
夢の中で、何者かが体をチェックしている。
「これって、夢だよな?俺の体に何かあるのか!器って何だ?」
夢の中にいる何者かに話しかける。
「これは珍しいな。夢の中とはいえ、私が見えるのか。」
「私の名前はアテナ」
「守護者であり戦いの女神とされている」
「お前の紋章により蘇った。よろしくな」
「困った事があれば、私を呼べばよい。気が向いたら助けてやる。」
「では、またな」
『ガバッ!』
「夢?だよな…」
「アテナか…可愛かったなー♪」
「いやいや…寝よ…」
自ら守護者と名乗るアテナ。理解するまで、そう遠くはなかった。
次の日
昨日の出来事を受け入れてみる事にした透。しかし、学校へ向かう途中、クラスメイトの女の子に呼び止められる。
「オイ!そこのお前っす」「ちょっと、止まるっす」
彼女は、剣道部に入っている…
「私は、一宮っす!一宮 京子っす!」
「うん、知ってるよ。何か用かな?」
「私と、勝負するっす!手加減なしっす!」
「えぇぇぇっっ!話すのも初めてなのに、勝負って」「理由がないじゃないかぁ」
「理由ならあるっす!私の中にいるニケちゃんが、お前と勝負しろと言ってるっす!」
『ブン!ブン!』
そう、言いながら竹刀を振り回す一宮。
「理由がメチャクチャじゃないか。ウワッ、危ねっ」
「って言うか、今、ニケって言ったよな?」
「そうっす!ニケちゃんっす!」
一宮の攻撃は止みそうも無い。
(ニケって神話にいたよな…って事は、一宮も守護者が?しかも、そいつが俺を攻撃しろって…)
「勝負中に考え事っすか、かなり、なめられてるっすね!」
「すきありーっ!」
一瞬のすきをついて、一宮の竹刀が降り下ろされる。
「わーーっ!」
「アテナーッ!」
“私を呼んだか”
『バキーンッ』
竹刀が当たる直前、右腕が勝手に動き、身を守った。その衝撃で、竹刀は真っ二つに折れた。
“こんな子にビクついてるのかお前は、だらしない”「そういうわけじゃないんだけど…」
色々と頭の中で言い合っている2人。
だが、次の瞬間…
“アテナ様ーっっ!”
一宮の体から『ポン』と何かが飛び出した。
“ひょっとしてアテナ様ですか?私です!ニケです!”
そして、透の体からも飛び出す。
“ニケじゃないか!しばらくぶりだな”
「あのー2人は知り合いで?って言うか小っちゃ…人形みたいじゃん!」
一宮も驚きと、興味深々な感じで2人?2匹?に近づく…
「何ー、このお人形♪すごい可愛い♪」
“バカにしているのか?お前たちの器としての力が私たちを、この姿にしているのだ。こんな姿でも私の力は強力だぞ。やってみるか?”
突如現れた、紋章の力。
とりあえず、神の姿には程遠く、可愛かったのである。