第2話 校長
「行ってきまーす」
朝から信じられない話を聞かされ、今だに状況が理解出来ないが…、この紋章が体に刻まれている事だけは事実…。
「わぁーーっ!邪魔、邪魔っ!」
『キキィィィッ』『ドン!』
「ちょっ、透、大丈夫?」
この自転車でぶつかってきた女の子は、同級生で幼馴染みの「早川 七海」ちょっとドジな子だ。
「って言うか、遅刻しちゃう。先行くね。」
「ちゃんと前見て運転しろよー…。」
(しかし、能力…たしかに能力とか言ってたっけ…何もかわらないよなー…。)
(そもそも神ってなんだ?神話に出てくるやつか?ゼウスとかアポロンとか…まさかね。)
色々考えてるうちに学校に着いた透。結局、HRには遅刻してしまった。
『キーンコーンカーンコーン』
1時限目のチャイムが鳴り終わると…
『ピンポンパンポーン♪』
『1年C組、三神 透君、至急校長室まで来て下さい』
『ピンポンパンポーン♪』
(呼ばれたの僕だよね?遅刻が原因?)
とりあえず校長室に向かう透。
『コンコン』
「開いてますよ。どうぞ。」
「失礼します。何でしょうか校長?」
「いきなり呼び出してごめんなさいね。たしか、貴方は今日が誕生日よね?」
「はい、そうですが…」
「用事と言うのはね、まず服を脱いでみて♪」
「はい?」
「早く見たいの♪服を脱いで♪」
「校長!いくら校長が若くてキレイでも、それはまずいんじゃ…心の準備が…」
「あら♪若くてキレイだなんて♪ありがと♪でも貴方には興味ないわよ、勘違いしないでね。あなたの紋章に興味があるのよ。」
「えっ???」
「何で紋章がある事を知ってるんですか???」
「うーん、面倒くさいなぁー。えいっ♪」
校長が声を放つと、それに答えるかのように紋章が反応する。
「あーん♪そこね。見つけちゃった♪」
「見せます、見せるから待って下さい…」
(まさか、今のが能力?校長にも能力が?)
「今、貴方は私の事を考えてる。校長は何者?何か力があるってね。」
「その通りよ、貴方にはこの学校の説明もしなきゃね。」
「この私立清廉学園の校長には、代々特定の紋章を刻まれた物がなる事になってるの。それが私。加護はセイレーン。」
「セイレーン?神話の話しじゃ…。」
「ええ、そうよ。セイレーンの加護があるものは、学園を守らなければならないの。そして、能力のある物を守る為、入学させるの。貴方みたいにね。」
「えぇーーっ!じゃあ生徒は皆、何かしらの能力があるって事ですか?」
「いいえ、一部の生徒にしかないわ。現実問題、学園を成立させるには一般人も入れないと無理だもの。金銭的にも。フフフ♪」
「ですよねー。」
「ちなみに、紋章は一般人からは見えないわ。逆に見えると言う事は、何かしらの能力が備わっているって事ね。」
「わからない事があったら、いつでも尋ねてきなさい♪答えられる事は教えてあげるわ♪」
『キィーッ、バタン』
校長室を出る透。急な話すぎてよく意味はわかっていないが、それもすぐ理解していくのである。