再会5
クシイはまじまじとエンを見つめると、ゆっくりと口を開く。
「どうやら私は君を見くびっていたようだな、エン君。そのほとんど感じられないアルドも自然のものだと思っていたが、どうやら違う様だ」
「あ、分かっちゃいました? わざと隠してた訳じゃないんですけどね」
エンは笑いながら答える。
そういえばベータも、エンの能力を知った時には驚いていたな。
オレの前では普通に能力を使っていたが、エンは普段は本当に何も使っていなかったというのか。
全く、この世界の常識というやつが分からなくなってきたな。エンの奴は、どうやら常識から離れた奴だという事らしいから。
「えーと、じゃあ端的に話すと、学校内に僕とシータと彼、カズヤの三人がいる所に二人のARUTOが出現。ズスフィールドにより僕達は閉じこめられてしまったので、三人で協力してこれに対抗し、一人を撃破。一人は瀕死にまで追い込んだけれども、残念ながら逃げられてしまった、ってところです」
クシイはぴくりと眉を動かすのみ。
ファイは、
「バカな! お前達がARUTO二人を退けたというのか!?」
と大声を上げる。
「あ、それと、ズスフィールドは僕達がARUTOの発動者を倒す前に外側から破られたみたいですけど、クシイさん達がやったんですか?」
ファイは無視してのエンの質問に、クシイは、
「いや、我々は何もしていない。というよりも破れなかったのだが…」
と答える。
すると、今まで黙っていたガルデルムが口を開く。
「あの結界なら私達が破ったのだが」
その言葉に、いい加減飽きてきたのだが、
「何! ズスフィールドを!?」
と、ファイの大声。
クシイはガルデルムの方へと視線を移す。
「まあ、破ったのはほとんどミズホの力だがな」
「なるほどね」
クシイは何やら納得した様で、頷くとガルデルムの隣の少女へと視線を移す。
「ミズホが破ったのかぁ…」
と、エンが漏らし、同じく視線を移す。
「な、何よ?」
急に周囲の注目が集まり居心地悪く感じたのか、少女はそう言葉を漏らす。
「いや、やっぱりFOLSが目を付けるだけはあったんだなあって。ですよね?」
エンはクシイへと笑顔を向ける。
クシイはふうと息を吐くと、
「その話は良いとして、そっちの三人について説明してもらえないか?」
その三人というのはオレとガルデルム、スズに間違いないだろう。
「えっと、カズヤ。その二人はカズヤの知り合いなんだよね?」
と、エンはクシイに答える前に確認する。
「ああ、オレの世界の知り合いだ」
わざわざオレとガルデルムとの関係性まで長々と話す必要は無いので、ただそれだけ答える。
「という事で、この三人は異世界から来た人達です。けれどもARUTOとは無関係で、この世界に害をなすつもりは無いと思います。だよね、カズヤ?」
「ああ、良く分からないが、オレは人を捜しているだけだ」
「人捜し?」
オレの言葉にファイが反応する。
「彼は、扱い方の分からない転移装置によって、意図せずにこの世界に来たという事です。その前に、その装置によって転移させられた人を追って。そっちの二人は彼を追って来たようですが…その捜し人がこの世界に来ているのかどうかは分かりません」
エンの説明に、クシイはただ一言だけ質問する。
「その装置はあるのか?」
「固定されていて、一方的に転移させるだけの装置らしいです。だから、彼らは現状では他の世界に行く事が出来ないし、自分の世界にすら帰れないという事です」
「分かった。説明ありがとう。ところで、今後についてベータから何か指示は受けているか?」
「今後の事はFOLS本部に行ってから話す、という事です。クシイ達が連れて行ってくれると思うから、とも言ってましたね」
エンのその言葉にクシイは、
「やれやれ、あの人は…」
と、呆れた様に呟くと、
「では、本部へと向かう車中で詳しい話を聞こう。エン君とそのカズヤ君、それと外にいた三人の中から誰か一人は私と共に。シータと残りの二人はファイと共に車に乗って向かう」
「誰でも良いのなら、私がカズヤの方へ行こう」
そう言ったのはガルデルム。
「はあ? 何でお前と一緒に――」
「貴様よりは、現状について話せると思うがな」
オレの言葉を遮り、嫌みたっぷりな笑みを浮かべるガルデルム。
言い返そうとするが、それよりもクシイの言葉が早かった。
「分かった。では君――」
「ガルデルムだ。呼び捨てで構わん」
「ガルデルム君が私の車で行くという事で。後はファイ、頼んだぞ」
「了解しました!」
クシイの言葉に、敬礼らしきものをしてファイは答える。
「では行こうか」
そうしてクシイ達は歩き出す。
「ちょ、ちょっとどういう事よ?」
と横では、ミズホというらしい少女が、エンに説明を求めていた。




