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タイムシェイパーFOLS  作者: 時野 京里
第四楽章 α
97/113

再会4

 奴はふっと鼻で笑うと、

「少しは頭が使えるようになってきたのだな。その通りだ。アルド…と言ってもお前には分からないと思うが――」

「否、分かるぞ。この世界に来て、お前の力や、このアームの力が何なのか……少しは理解したつもりだ」

 今度はオレが奴の言葉を遮り、左腕を前に出して握りしめる。するとガルデルムは長い前髪に隠れた顔からでもはっきりと分かる程、顔全体で現す笑みを形作る。

「なるほど、それは――たいした進歩だな。それで、リシェル――否、スズだったか。お前の妹は、自分の許容量以上のアルドを持っていたのだ。そのため――」

「何時その力が暴走してもおかしくなかった、という事か」

 どこかで聞いた様な話だな、と感じながらそう口にした後、先程ベータから似た様な話を聞いたのだと思い出す。

「その通りだ。確かにその分野の知識を得ているようだな」

 何故かは分からないが、嬉しそうにそう答えるガルデルム。

「だからと言って、お前がスズをさらっていった事は許される事じゃねえ。オレは――」

「ごめん、カズヤ」

 と、今まで静かにしていたエンが、とんとんっとオレの肩を叩き、ガルデルムとの間に割って入る。

「取り込み中の所悪いんだけど――」

 申し訳なさそうにエンはそう続けた後、右方へと視線を移す。

「他のFOLSの人達が来たみたいなんで、現状の説明とかしとかないと、色々とややこしい事になるかなーと」

 エンの視線の先には、白いコートを着た二人の男達がいた。

 胸の辺りには確かにFOLSの四文字。

 二人共サングラスをかけていて表情は分からないが、一方は口髭をたくわえたおそらく四十代程の長身の男。もう一方は若く二十代であろう少し弱々しい印象の男。

「げ、さっきの二人だ」

 と、声を出したのはガルデルムとスズと共にいた少女。

 続けて、

「お前達動くな!」

 と、FOLSの若い男の叫び声が続く。

「何だ? 知り合いか、ミズホ?」

 ガルデルムが隣の少女へと問いかける。

「知らないわ。さっきここに入ろうとしたら止められた、警察みたいなものよ」

 何故か怒りながら答える少女。

 その声が聞こえたのか、

「静かにしろ! 言う事が聞けないのなら、痛い目にあってもらう事になるぞ!」

 と、さっきの若い男が再び大声で恫喝する。

 その上から言う様な態度が気に障り、

「何様だ、あいつ?」

 と、口に出してしまう。

「まあまあ、カズヤ落ち着いて。彼らと争う必要はないし、話せば分かってもらえるから」

 そう言ってエンは一歩前に出る。

「動くなと言っている!」

 すかさずFOLSの若い男が叫ぶ。

 やはり、いけ好かない野郎だ。

「とりあえず、中で何があったのか説明しようと思うのですが――」

「お前が話す必要はない!」

 エンの言葉を一刀両断。

 何が話せば分かってもらえる、だ。明らかに殺気を放っているじゃねえか。どう考えても、こっちと話す気なんて毛頭ない様子だろ。

「シータ、中で何があったのか、彼らは何なのか、報告しろ」

「え、あの私は…」

 現状に付いて行けてないのか、急に名前を呼ばれたシータは言葉に詰まる。

「シータは気絶していたので中の事は覚えていませんよ」

 と、すかさずエンが代わりに答える。

「何? 本当かシータ?」

「は、はい。本当です。すみませんファイ」

 奴の名前はファイというのか、シータはそう答えた。

「だから、僕が後の事は任されたんですよ、クシイさん」

 と、エンは誰かの名を口にする。確か、ベータが変わる前に言っていた様な…。

「お前何故クシイさんの名を知っている!?」

 すると、ファイは殺気を強めてくる。全くこいつはこれしか能がないのか。

 エンが返事をしようとするが、それより早く、今まで黙っていた中年の方の男が口を開く。

「彼とは一度会っているのだ。そう殺気立つな、ファイ」

 そう言ってたしなめられたファイは、

「そ、そうなのですか? しかし、彼らは――」

 と言い返そうとするが、クシイの視線に押されて言葉は途切れる。

 ファイが黙ったのを確認すると、クシイはサングラスを外し胸ポケットへとしまう。

 現れたその目はエンをじっと見据えていた。

「任された、とは?」

 どうやらこっちの男は、前の五月蝿いだけの奴と違って洞察力がある様だ。エンの言おうとしている事が分かったのだろう。

「ベータからです」

 エンの答えはそれだけ。それでクシイという奴には伝わる、と。

「お前、ベータ様がどこにいるというんだ!」

 相変わらずのファイの反応。こいつはシータがベータだと知らないのか?

 だが、

「いいから黙っていろ、ファイ」

 と、こっちは知っている様子。

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