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タイムシェイパーFOLS  作者: 時野 京里
第三楽章 ε
72/113

檻の中へ3

「おいエン! これは一体どういう――」

 カズヤの叫びが聞こえ、同時に目の前に突然現れた男の内の一人が、カズヤに向かって手を突き出すのが目に入る。

「カズヤ! 避けろ!」

 僕の叫びと同時に、直視出来ぬ程の閃光が男より発せられる。

「ドーーン!」

 大きな激突音が聞こえた後、思わず閉じてしまった目を開ける。

 何が起こったのか瞬時には理解出来なかった。

 二人の男を挟んだ反対側の壁がぼろぼろに砕けているのを目にし、その下にカズヤが倒れているのを目にし――そこでやっと何が起きたのかを理解した。

「カ、カズヤ?」

 カズヤの元へと走り出そうと足を一歩踏み出す。

 しかし、何故かそれ以上前へと体が進まない。

「なかなか面白い場面に出てきたみたいですね」

 その言葉に、ほぼ体育館中央に位置する二人の男へと僕は顔を向ける。

「そのようだ。あの男、オレの一撃をくらってもまだ息がある様だ。面白い」

 そう言ったのは、先程カズヤに向けて手を突きだしていた方の男だ。前の声よりも低く太い声。ぺろりと舌なめずりをすると、不気味な笑みを浮かべる。

 二人とも同じ服装で、全身光沢のある白で覆われている。純白のコートの様な上着のその右胸には、金色の「ARUTO」という五文字が。

 そう、僕の目の前にいるこの二人は、間違いなくFOLSの宿敵ARUTOなのだ。

 改めて体を動かそうとしてみると、前には進むことは出来ないが後ろへと進む事は出来るようだ。ゆっくりと一歩ずつ後退し、シータの横に並ぶ。

「シータ、クシイさんに連絡するんだ。奴ら二人相手じゃ、いくらなんでも分が悪すぎる」

 そうシータの耳元へ小声で伝える。

 流石にこの状況で、自分がFOLSだと隠す必要はないとシータは判断した様で、すぐさま携帯電話の様な物を取り出す。おそらく、FOLS専用の通信機だろう。

「クシイ! クシイ! こちらシータです!」

 シータが会話しているのを聞きながら、僕はARUTOの二人へと目を向ける。

 二人はシータの通信に対して特に何かをしようという様子はなく、不敵な笑みでこちらを見ている。

 一方の男、カズヤに対し光を発した方の男は、黒髪に黒い瞳。整髪剤で固められているか、髪は逆立っている。

 それに対し、もう一方の男は病的なまで白い肌に銀色に輝く長髪で真紅の瞳。赤い瞳など見るのは初めてで、そのため不気味さが増して感じられる。

 二人とも長身で、カズヤと同じかそれ以上。白い男の方が五センチ程高い様に見える。と、その銀髪の男が片腕を真上に掲げる。

 一瞬、その手の周りが青白く光り、すぐに腕は下ろされる。

「どうしたんですか? 応答してください!」

 シータが通信機に向かって叫ぶ言葉を聞き、奴が何をしたのか、大体理解する。

「無駄だよ」

 言葉と共に赤い視線がシータへと向けられる。

 少年の様な声に聞こえるが、そこには感情が何も感じられない。どこまでも無機質な声で男は続ける。

「この建物の周りにズスフィールドを張った。これでもう外とは、通信はもちろん、行き来も出来ない」

 僕の予測通り、結界の様な物で周囲を囲まれてしまったらしい。

 白い男は言葉を続ける。

「ズスフィールド位知ってるだろう? FOLSのお嬢さん?」

 言い終わる瞬間、その手から雷の様なものがほとばしる。僕はとっさに男から離れようと左後方へと飛び退くが、

「シータ!」

 シータは全く反応出来なかった様で、イナズマの直撃を受け宙を舞うと三メートル程後方の床へと叩きつけられる。

「シータ、しっかり!」

 すぐに駆け寄り、体を抱き起こすが全く反応がない。

「おいおい、一般人が避けたってのにFOLSは直撃かよ」

 あざ笑う黒髪の男の声。

 どういう理由か分からないが、奴らはシータだけがFOLSだという事が分かっているらしい。

「でも、あれを避けるなんて少年の方もただの一般人とは思えないんだけど」

 相変わらず感情のない声。

 と、腕の中のシータが微かに動いた様な感じがして、視線を落とす。

 そして、絶句。

「え…」

 僕は自分の目を疑った。

 先程、抱き起こした時は確かに黒だった。それが、二人の男に視線を向けていた数秒間で、真っ黒だったシータの髪が、明かりの少ない朝の体育館の中でもはっきりと分かる程光り輝く黄金へ、そう金髪へと変わっていたのだ。

「この程度の事で、FOLSを舐めないでもらいたいわね」

 発せられたその言葉は腕の中の女性のもの。

 そして、僕にはその声に聞き覚えがなかった。

「何だ? 雰囲気が変わりやがったな」

 黒髪の男の声が聞こえる。

 金髪の女性はゆっくりと立ち上がり、そして、

「エン君、一時退却して体勢を立て直すわ」

 二人の男にも明らかに聞こえるだろう声量でそう言った。

 その声は、やはりシータのものとは違う。

「おいおい、オレ達がみすみす逃してやるとでも思っているのか?」

「逃してと頼んだ覚えはないわ」

 黒髪の男の言葉に冷たく言い放つシータ。

 男は頭にカチンときた様で、

「ほう、だったら逃げてみろや!」

 いきなり光線をこちらに向けて放つ。

 僕は慌てて左に跳び、その軌跡から逃れる。

 シータも同じ様に左へと逃れ、僕の目の前へと着地する。

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