表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイムシェイパーFOLS  作者: 時野 京里
第一楽章 μ
33/113

焦燥感と来訪者3

「ふーん、なるほどねぇ…って、また話が逸れてる! えーっと、話を戻すけど…そうそう、それで、よく見てみたら何だかFOLSって書いてあるじゃない? これは何事か、と思ったんだけど帰れとか言うものだからさ、帰るふりをしてここに隠れてたっていう事よ」

「それであの煙はいつから?」

 私は一番気になっていたところを聞いてみる。

「十数分前かな。いきなり教室がピカッと光ったと思ったら煙がもくもくと。爆発音も無くね」

「音がない? 全く?」

「そう、それで気が付いたのよ。例え、ただ単に火が出ただけだとしても、少しは音がしてもいいものじゃない? もしかしたら学校の周りに結界か何かが張ってあるんじゃあないかって」

「結界? それってあのフォルスとかいう人達が――」

 私は学校の方を見上げそう言いかけるが、

「逆かもしれないよ」

 と、アミが途中で答える。

「逆? どういう事?」

 私は再びアミの方を振り向き、顔をしかめる。

「つまり、中で事件を起こした何者かが結界を張った事によって、外の彼らは中に入れなくなり、あそこで立ち往生してるって事よ。同時に、中に入った人も出られなくなったって事もあるかも」

 さーっと血の気が引いていくのを感じる。もしアミの言う通りだとして、中にエンがいたとしたら――

「ちょっと、さっきも言ったけど、エン君が中にいると決まったわけじゃあないんだからね?」

 私の表情を見て、アミはしまったという顔をしてそう言った。

「それでどうなったの?」

 私が先を促すと、アミは私の表情をうかがいながら、

「で、それからそのFOLSの二人は無線か何かでどこかに連絡をして、ミズホも見た様に警察が大勢駆けつけて来たって訳よ。それ以上は分かんない。FOLSが警察を集めて何をしようっていうのか全く見当もつかないわ。とりあえず、最初より状況が悪化したのは確かね。あの爆発だかなんかのせいで」

 アミはこういう非日常的な状況でも冷静に判断し、行動ができる人間だ。だから私はアミのことを信頼している。

 実際、今の話をアミ以外の人から聞いたとしたら、間違いなくパニックに陥っていただろう。一緒に居るのがアミだからこそ、まだ落ち着きを保っていられる。

 私は大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出す。

「アミは今、何が起きてるのか知りたいのよね」

 ゆっくりと、そしてはっきりと私はそう言った。

 アミは私が言おうとしていることが何か分かったのか、目を見張らせる。

「彼らの話を聴いてみる」

 アミは真剣な表情をになると、何も言わずにただ一つ頷く。

「いくよ」

 私は目蓋を閉じ、全神経を耳へと集中させる。そして、そこにアルドがだんだんと集まってくるのを感じる。

 そう、私の得意な能力は、いわゆる『感覚拡大』系に属するものである。

 元々、他の人達よりも感覚は鋭いのだけれども、アルドを一点に集中させる事で通常の何倍もの感覚を得る事が出来るのだ。まあ、それだけが全てという訳ではないのだけれども。

 とにかく、今、私の聴力は次第に拡がっていっている。ただ耳が良くなるという訳ではない。自分の望む音だけを拾って知覚する事ができるのだ。ざわざわといういくつもの雑音が通り抜け、目的の音に突き当たる。

 能力を使う前に見た時、フォルスの一人は無線か何かを手にしていた。その内容を聴く事が出来れば――


――――い、そうです。中には彼女がいます。私とクシイさんは門の所で待機していたのですが、いつの間にかズスフィールドが張られてしまっていて。

 ……はい、相当な強さのフィールドです。私達二人掛かりでもびくともしませんでした。

 ……そうです、これ以上内密に進めるのは無理でしたので、警察に連絡して、強盗が人質を取って学校に立て籠った、という事で。

 ……はい、今のところは。ただ一つ気になる事があるのです。最後に彼女から入った連絡なのですが、一般人が学校の中にいると。名前を聞こうとしたのですが、その途中でフィールドが張られてしまって。

 ……それ以上ははっきりと聞き取れませんでしたが、エなんとかガムラという部分だけなんとか――――


 私は大きく目を見開く。

 感覚が一瞬にして縮まり、同時に不快感が押し寄せてくる。

「エンは中にいる」

 気分が落ち着くのを待たずに、私はアミにそう告げた。今はゆっくり気分を落ちつけている時間も惜しい。

 ゴクリと唾を飲み込み私は続ける。

「あのフォルスの人の話から推測すると、学校の中では普通の人々には知られちゃいけないような何かが起こっている。中にいるのはたぶんエンとフォルスの女の人。そして、事件を起こした犯人がいるのは確かね。後はどうだか…」

 話しながら私はどうしたらいいのかもう分からなくなっていた。

 エンが中にいる。エンが事件に巻き込まれてしまっている。そう考えるといてもたってもいられない。私に何ができるのか。私はどうしたらいいのだろうか…。

「ミズホ、詳しい事件の全貌とかは分かんなかった?」

「アミの言った通り結界が犯人によって張られているみたい。確かズスフィールドとか言っていたような…。それ以上は何とも」

 そう答えた直後、

「誰かいるのか!?」

 一人の警官が私達の隠れている植え込みへと踏み込んで来た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ