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α


 オレ達がFOLS本部に来てから、早くも一週間が過ぎていた。

 その間何をしていたのかというと、オレはほぼ毎日缶詰状態でアームの調査に付き合わされていた。

 ベータや他のFOLSの者達の話によると、このアームにはアルド文明の発達したこの世界においても作り出す事が出来ない、「おーばーてくのろじー」とやらが使われているらしく、それを解明するべく何日間も研究室で調査を繰り返していたという訳だ。

 何日間も拘束され、腕をいじくられるのにも飽き飽きしたオレは、「アームを取り外して調査した方がもっと詳しく調べられるんじゃないか」と提案したが、何やらこのアームは完全にオレの体の一部となっていて、取り外すのは良策とは言えないらしい。

 詰まるところ、オレの体と繋がっているからこそのアームで、取り外してしまったらただの義手と変わりは無いというのだ。

 そんな訳でオレは一週間ほとんど身動き出来ずにいた訳だが、本日やっと解放され、今はFOLS本部内のオレ用に用意された個人部屋でぼけっとベッドに横になっている。ベッド以外には備え付けの収納棚が一つあるだけの殺風景な部屋だ。

 一週間も拘束されていた割にはアームに関して分かった事は極わずからしいが、今の時点ではこれ以上どうしようもないという事でオレは解放された。

 とりあえず、今日一日は自由にしていて良いという事だったが、特にやりたい事などない。あるのはただ一つ、アイを探しに行きたいという事だけだが、オレはまだ時を移動する術を教えてもらってはいない。

 ベータやクシイに早く教えるよう催促したが、アームの調査が終わるまで待てという一点張りで、一向に教えてはくれなかった。

 それでも、以前に比べればオレは落ち着いていた。ここに来たばかりの頃はアイを捜すんだと気ばかり焦っていたが、こうして日が過ぎてみると意外にも気持ちは落ち着いてきたのだ。

 ベータが言っていた様に無限に広がる世界があるとして、その中からアイを見つけ出すのは並大抵の事ではないだろう。そのためにはまず焦る気持ちを落ち着け、冷静に現状を見つめるべきだという考えで、ベータはオレをここに留まらせているのかもしれない。

 だが、それにしても、

「暇…だな」

 ぼそりと呟く。

 今までの事を色々と思い返していたが、そんな事を一日中しているのも飽きてしまう。

 今はまだ昼にすらなっていないが、外に出てみようと思っても、一人では何処に行ったら良いのか分からない。

「ったく、暇を出すなら暇つぶしの場所位、提供しろってんだ」

 ここにはいないFOLSのリーダーの顔を思い浮かべて呟く。

 すると、トントンッと入口の扉を叩く音がする。

「シータです。カズヤさんいますか?」

「どうぞ」

 オレの呟きに答えるかの如く現れたシータに、内心焦りながらもぶっきらぼうに返事をし、ベッドから起き上がる。

「おはようございます。お久しぶりですね」

 シータとは確か四日前に会って以来か。

 部屋に入ってきたシータは、ベッドに座るオレの前まで来るとそう言って頭を下げた。

「ああ、おはよう。どうした? 何か任務か?」

 シータとは数回話す機会があったのだが、どうもベータの事を思い浮かべてしまい、会話がぎこちないものとなってしまう。

 シータとベータが全く別の人格だという事は理解したつもりだが、こうして話している事もベータに筒抜けだと思うと、どうしても気構えてしまう。

「はい、一応任務といえば任務なのですが、違うといえば違う様な」

「どういう事だ? 良く分からないんだが…」

 そう思った通りに答えると、シータは何やら慌てて両手をふるふる振って、

「あ、いえ違うんです。私も今日は休暇なんですけど」

 何が違うのか全く分からないが、必死に説明する。

 シータが他の人と話しているのを見て感じたのだが、どうやらシータはオレと話すのが苦手らしい。というより、オレを怖がっている様な節がある。

 ベータの事でオレの話し方がぶっきらぼうになってしまっていて、恐い印象を与えているのだろうか…今度ベータに会ったら聞いてみるか。

「それじゃ、どういった用件だ? 暇潰しか?」

「えっとあの、クシイが、カズヤさんが暇にしているだろうから、色々と案内してやったらどうだって言ってて、それで――」

「お、それは丁度良かった。外に出ようにも、何処に行けば良いのか分からなくて暇にしてたんだ。案内してもらえるならありがたい」

 そう答えると、シータはあからさまにホッとした様な表情をする。

「それなら何処か行きたい所はありますか? 私の分かる範囲なら案内しますよ」

「そうだな。とりあえず、買い物したり飯を食ったり出来る繁華街の様な所へ案内してくれないか。と言っても、オレはこの世界の金を持ってないから何も買えないと思うが――」

 立ち上がり部屋の入口へと向かうと、シータは慌ててその後についてくる。

「お金の事なら心配しないで下さい。私が支払います。あなたの分の支払いは、経費で落ちる事になっていますから。」

 そんな訳で、オレ達はエゾの繁華街へと向かう事になった。


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