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タイムシェイパーFOLS  作者: 時野 京里
第四楽章 α
102/113

FOLS1


「ようこそ、FOLS本部へ」

 そう言ってオレ達の前へと姿を現したのは長い金髪をなびかせ、白を基調としたFOLSの制服に身を包んだ女性。

 年齢的には少女なのだが、その周りにまとう空気がそうは思わせない。

 制服もクシイやファイの物と違い、金糸の刺繍や装飾が施されているという事も、彼女が他の者達とは違うという事を表していた。

 彼女の名はベータ…のはずだ。

 だが、あの時とは明らかに雰囲気が違っていた。そう、今の彼女ならば、FOLSのトップだと言われても素直に頷ける。

「少し待たせてしまった様で、すみません」

 頭を下げる少女。

 それを目にし、今度こそこいつがベータなのかと疑ってしまう。

 けれども、

「私はベータ。このFOLSの現在の最高責任者です」

 と、オレの疑問は否定される。

 オレ達はFOLS本部に着いた後、クシイに連れられ会議室の様な一室へと案内された。

 暫く待つようにと言ってクシイが出て行って、すぐにミズホとスズがファイに連れられて来た。そうして、ファイが出て行ってからしばらく経ったところでベータが姿を現した訳だ。

 机を囲む様にして椅子に座っているオレ達に対し、ベータは立ったまま話している。

 その後ろにはクシイが控えている。

「エン君とカズヤにはあの学校内で会っていたけれども、ミズホさん、スズさん、ガルデルムさんは初めまして」

 ベータはにっこりと微笑みそう言った。

「初めましてー!」

 と、元気にスズが答え、

「は、はじめまして」

 と、ミズホはおずおずと答える。

 ガルデルムは僅かに頷いた様に見えたが、何も声には出さない。

「まず、何故あなた達にここに来てもらったのか話すべきだと思うのだけれども、それにはこのFOLSがどういう組織なのかを知ってもらう必要があるわ。他の世界から来た三人はもちろん知らないだろうし、この世界の人間でも我々の事について知っている者はほとんどいないわ。そうよね、ミズホさん?」

「え? は、はい!?」

 どうやらミズホは緊張していた様で、急に声をかけられ変な声をあげてしまったらしい。

 顔を赤くしてうつむきながら話し出すミズホ。

「警察の手に負えない事件を解決してるとかそれ位しか…」

「ええ、そうね。一般人が知っているのはその通りだと思うわ。まあエン君は例外みたいだけど…」

 ベータの視線に合わせて、驚いた様子のミズホもエンへと視線を向ける。

「え? 僕が知ってる事を話せって事かな?」

 エンはミズホと違い緊張など何もしていない様子。

 まあ、ベータとは既に話をしているんだ。お偉いさんだと分かったところで、今更緊張などするはずがない。…否、エンは元から知っていたか。

「そうね。エン君がどれだけ知っているのか興味あるわね」

「ではでは、僕の方からFOLSについての説明をさせていただきます。さっきミズホの言った、警察の手に負えない――ってのはある意味正しくて、正確にはARUTOという強力な能力を使う者達の組織から世界を守るのがFOLSの役目なんだ」

 すらすらとエンは説明していく。

 すると、珍しくガルデルムが口を開く。

「ARUTOとは何だ?」

「えっと、ARUTOというのは異世界からやって来る者達で、その目的ははっきりとはしていないけれども、この世界で破壊を繰り返している。その者達全てが強力な能力を持っているため、それに対抗できる強力な能力を持った者を集めたのがFOLSなんだ。実際、今朝、学校で僕達はARUTOと戦った」

「えぇ? 戦ったってエンも?」

「うん。まあ、相手は逃がしちゃったけれどもね」

 ミズホの驚きの声に、苦笑いしながらエンが答える。

「私やカズヤも一緒にね」

 ベータが付け足すと、ミズホは何やら納得した様子で、ああと頷く。

 と、またもやガルデルムが質問する。

「異世界、とはどういう事だ?」

「それについてははっきりとは分からないんだけれども…あなたやカズヤのいた世界の様に、こことは違う世界です」

 ふむ、とガルデルムは腕を組むと、何やら考え込んでいる様子。

 いつも考えが読めない奴だが、いつも以上に考えている事が分からないな、などと思っていると、

「パンッ!」

 という両手を打つ大きな音が響く。

「大体分かったわ。エン君、あなたがどれだけ知っているのか」

 手を叩いたのはもちろんベータである。

「とりあえず、エン君はARUTOやカズヤ達の来た異世界については全く知らないのね」

「うん、そうだね」

 エンの頷きを確認し、ベータは話し出す。

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