俺は人殺し
※読み逃げ禁止です
俺こと北岡 秀は今、練馬少年院の牢屋の中にいる。俺の身に何が遭ったのか。これからそれを話すとしよう・・・。
あれは、8月半ばの事。俺の幼馴染みで彼女でもある南岡 楓は、俺の親父と再婚をして俺の新しい母親に成った。だが、まさかあんな事になるとは、夢にも思っていなかった。
その日、俺がバイトから帰宅すると、リビングで親父と楓が楽しそうに話していた。親父と楓は俺に気付くと、
「「お帰り」」
と声を揃えて言う。
「ただいま。てか楓、来てるんなら連絡くらいくれよ」
「秀、母さんに向かって楓とは何だ!?」
「あ?」
俺は目を点にし、疑問符を頭に浮かべた。
「母さん、ってどう言う事?」
「実は、前から言おうと思ってた事が有ったんだがな、父さん再婚しようと思ってたんだ。で、今日正式に楓と結婚した。だから、楓はお前の新しい母親だ」
「ごめん、秀。私もね、言おう言おうと思ってたんだよ。夏休みに入って、秀がバイト始めたでしょ?そしたら、私達会う回数減ったじゃない?それで、少しでも癒しならないかなって、出会い系を始めたの。で、ある日男の人から逢わないかとメールが有って、逢いに言ったわ。それが秀のお父さんだった訳。それから私達は何度かデートして、お互い恋をしてしまったの。そしたら、秀のお父さんが言ったわ。『結婚しないか』って・・・。秀の事もあるし、私なりに色々考えた。そして、考えた末出した答えは、『はい』だった・・・。と言う訳だから、今日から私は秀のお義母さん。宜しくね」
この時、俺の中の何かがブチ切れた。
「ふざけるな・・・」
俺は俯き加減に涙を流してそう呟いた。
「秀?」
「何で・・・何で話してくれなかったんだよ!?お前言っただろ!小さい時、俺の嫁に成るって!あれは・・・あれは嘘だったのか!?」
「秀・・・」
「もう良いっ、俺は出て行く!」
俺はそう言って家を跡にした。
「秀!」
と、楓が呼び止めた気がしたが俺は無視した。
夕暮れ時、俺は途方に暮れながら町中を彷徨い、とある河原へとやって来た。
女ってのは、何で16で結婚が出来んだよ・・・。
「クソ!」
俺は石を拾い、川に向かって投げた。石は水の上を数回跳ねて進み、数メートル行った所でポチャンと沈んだ。
「秀!」
と、追って来た楓が俺を見付け、河原へと降りて来た。
「秀ってさ、落ち込んだ時とか、良く此処に来るよね・・・」
「・・・さい」
「えっ?」
「五月蠅えって言ってんだよ!」
怒りを露わにした俺は、物凄い形相で楓を睨み付けた。
「どうしたの秀、そんなに怒って?」
「これが怒らずにいられるかよ!?」
俺は楓を突き飛ばし、仰向けに倒した。
「一寸、秀?幾ら難でもこんな所でそんな事しちゃ・・・」
俺は楓を睨んだまま、彼女の上に跨った。
「俺はお前を許さない。俺に内緒で他の男とデートして挙げ句の果てには結婚かよ!?ふざけんじゃねえよ!」
俺は傍らに在ったテニスボールくらいの大きさの石を拾い上げ、
「お前なんか・・・お前の顔なんかもう見たくも無え!」
と、手にした石を楓の頭目掛けて振り下ろした。
「やめて秀!」
だが時既に遅し。楓の頭には一発目の攻撃が加わっていた。
「死ねえっ、お前なんか死ねえ!」
俺は怒りを込めて二度目の攻撃をした。そして三度、四度と、幾度と無く石を楓の頭にぶつけて行く俺。最初の方は、楓も必死に為って止めてや助けて等、大声で叫んでいたが、次第に楓は声を出さなく為って、ついには意識を失った。
「楓・・・?」
俺は楓を殴っていた手を止め、石を捨てて楓を揺すった。だが、楓はピクリとも動かない。
「冗談だろ楓?なぁ、冗談だよな!?」
俺は楓の呼吸を確かめるが、息をしていなかった。
「楓、起きろよ楓!俺が悪かった!謝るから目を開けてくれ!」
と、そこへ見知らぬオバサンと交番のお巡りさんがやって来て、
「あいつですっ、あいつが人を!」
オバサンは俺を指差してお巡りさんに言った。お巡りさんは俺の下へ駆け足で来ると、俺の両手に手錠を掛けた。
で、今に至る訳だ。そう言えばもう直ぐ、楓のお葬式だ。俺は扉を叩き、覗き窓から看守に声を掛ける。
「なあ、俺を出してくれないか?もう直ぐ楓の葬式があるんだ。出席さしてくれよ」
「駄目だ!良いか、お前は犯罪者なんだぞ!?犯罪者は罪を償うまで出してはいけないと決まっているんだ!解ったら静かにしていて貰おうか」
だよな。そりゃそうだわ。何であんな事、しちゃったんだろうな?俺はもう、生きていても仕方がない。此処から出られないくらいならせめて、せめて楓の所に・・・。
俺はその日、看守の目を盗んで首吊り自殺をした。自分の服を紐状にして・・・。
読み逃げしねえでちゃんと感想書け!これは命令だ!By.北岡 秀
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北岡君に代わってお詫び申し上げます。最後まで読んで頂き有り難う御座いました。感想の方お待ちしています。




