フォンダンショコラ2
紅桜です。
ほんとは書くつもりなかったんですけど、書いちゃいました。
僕の友人は、男前だ。
どこがってまぁ、顔が。だけど、彼は性格もかっこいいと思う。
責任感が強いのだ。だからほら、うっかり変な方向に飛んでいったサッカーボールが、横で眺めていた僕に当たった、それだけでこんなに困った顔をして僕にあやまっている。傷一つなかったのに。まぁ、責任感が強すぎて逆にこっちがどうしていいのかを分からなくしてしまうのは他人の感情に疎い彼ーー瑠衣らしい。
「本当に悪かった」
「だから、もういいって……
怪我した訳じゃないんだよ?」
「……じゃあ、なんか奢らせてくれ。俺の気が済まないし、なんでも好きなもの言ってくれていいから。」
……じゃあ、甘えさせてもらおうかな。どうせ、これを断ったらまた、謝りだしそうだし。なんでも好きなもの、か……。
「じゃあ、フォンダンショコラ。フォンダンショコラが食べたい。」
「それなら、美味い店知ってるから、そこ行こうぜ。今日の放課後あいてるか?」
「うん、あいてるよ。」
「え?ここ……」
ここって玲さんが連れて来てくれたお店……。
「ここのフォンダンショコラ、美味いんだ。俺のお気に入り。」
瑠衣はちょっと微笑むと店へと入っていってしまって、あわてて追いかける。
「フォンダンショコラを2つ」
「かしこまりました。お席までお持ちしますので、お座りになってお待ち下さい」
「じゃあ、行こう……」
「あれ?瑠衣だ。」
不意に瑠衣を呼ぶ声がして顔を向けると、そこにいたのは
「……っ!玲さん……」
「ん?あ、君この前の……唯斗君だっけ?」
「はい。この間は本当にお世話になりました。」
瑠衣が不思議そうな顔をして聞いた。
「唯斗と姉貴、知り合いなの?」
「あぁ、ちょっと……って、はぁ?姉貴って……?」
クスクスと笑う声がしたかと思うと玲さんが、俯いて肩を揺らしていた。瑠衣はそれをみると何か理解したような顔をして、こちらもまた楽しそうな顔をして、僕をみた。っていうか、は?いや、え?姉貴って、玲さんのこと……だよね。え、いや、でも嘘。玲さんって
「女性、だったんですか……」
「そ、私は女だよ。よく間違えられるけどね。そうそう、で、君らは今から食べるの?」
「ああ、姉貴は?」
「私も今待ってるところだよ。だから……ご一緒してもいいかな?唯斗君?」
玲さんに微笑まれて頷いた。
……顔が熱い気がするのは多分気のせいだろう。