08.とうめい色
10話で終わらせるつもりですっ!
でわ、どーぞ。
「玲菜?あの――…」
「どしたの、夏帆?」
「アンタ、健と付き合ってんの?」
「うん」
「今幸せ?」
「……うん、幸せだよ」
「そっか……なら、いいんだ」
「そなの?」
そうだ、私はきっと幸せ。
彼の……あの人のことを思い出すことも少なくなった。
泣くことも少なくなった……笑うことも。
だけど、きっとこれからだよ。
きっとこれから、健を好きになれるはず。
「玲菜ぁーッ」
「あ、健ッ……ごめん夏帆、健が呼んでる」
「このーラブラブめがッ」
「もーっ」
健のとこに歩いてく、遠いわけじゃない。
だけど、なぜか彼が遠くにいる気がした、それとも私が遠くにいるのかな。
「玲菜――…」
「どしたの、夏帆」
「いや……幸せになりな」
* * *
「玲菜……?」
「え?」
突然の呼びかけに感じた戸惑いも、今では罪悪感。
私は……健が好きなんだよね、迷ってなんかない。
「久しぶり、だな」
「うんそだね」
「健と、幸せになれよ?」
「和也こそ、凛香さんとお幸せに」
違う、私は今でも好きなんだ。和也のことが。
だって今胸がぎゅーって締め付けられて、息もできないぐらい苦しいんだもん。
凛香さんのことを思い出すと。
「じゃぁ、ばいばい?」
「っ玲菜!」
「え」
「何でも無い、じゃぁな」
和也が何を言おうとしたのか、今の私に分かるはずもない。
和也が好きなのは凛香さん。
これ以上一緒にいたら、涙が出るのは何秒後?
* * *
――プルルルルルルル――
「はれ?電話だ」
“もしもし?”
“もしもし?玲菜?”
“夏帆~!!どーしたの?”
“今さ?葉月といるんだけど。アンタに話があるんだ”
“え。話?いいけど”
“今から、学校来れる?”
“うん。分かった。”
“んじゃね?待ってるから”
突然の電話よりも遥に妙な緊張が身体を駆け巡った。
行くのが怖かった、今保ってるこの関係がぜんぶぜんぶ、崩れてきそうで。
だけど、今行かなかったらいつ行くの?
もう後悔なんてしたくなかった。
「玲菜――ぁ―……」
「あっ夏帆、それと葉月君!どしたの?話って」
「アンタが今、幸せなんだったら、言わない方がいいのかなって思ったけど
もう無理」
「え?」
「高梨君の事で、話あるんだ」
「和、也?」
「アイツ、さ?今でも和泉の事好きだよ?」
空みみなら、私はとんだ馬鹿たれです。
夢ならば覚めないで、幻ならば現実を塞いで。
おねがい、このままでいさせて。
次回:葉月君から聞いた真実に、胸が締め付けられる。
私が、逢いに行きたいのは。
一緒にいたいのは・・・。