06.みず色
7月中には完結させようかな・・・と考えています。
でわ、どうぞ。
―カタンッ―
鳴ってしまった音は取り返せない。
ドアにかけた、私の手が小さく音をたてる。
「っ玲菜!!!!」
和也の声が鳴り響いた。
でも私には。
私には彼の声がものすごく小さく聞こえた。
振り向く事が怖くて。
彼の前から走って逃げた。
そう、逃げたんだ私は、和也から……。
「玲菜?どした?」
優しく鳴り響く声の先には。
夏帆が立っていた。
「っ夏帆っ」
「玲菜?何かあった?てか、だいじょぶ?」
「……っ和也と、凛香さんが」
「……。」
「キス、し、てた」
「……は?ちょ、意味分かんねぇんだけど。だって玲菜、高梨君と付き合ってるんでしょ?」
「……うん。」
「あたし、高梨君と話つけてくる!」
そう言う彼女はもう、走り出していた。
「夏帆っ!!待って!行かないで。傍に、い、て?」
「分かった。」
空は偽りのないほどに真っ青に透き通ってた。
*
辛いとか、ショックとか。
いざ現実つきたてられると何も考えられなくなってゆく。
和也は結局、凛香さんのことが今でも好きだったんだよね?
私は、和也の何でもなかった。
特別な存在とか、彼女とか…――ちょっとでも期待した自分がうらやましくなった。
もう願うこともムリなんだよね、だって私は和也とまったく関係ないんだもん。
「玲菜……?ちょっといい?」
和也に呼び出されて、私が居るのは。
あの屋上。
「……和也?」
「……あのさ、俺たち、別れよう?」
“ワカレヨウ”
「え」
「ごめんな」
すると彼は、私の方には顔を向けず、去っていった。
そう、だよね。
だって和也には好きな人がいるんだもんね。
だからね私、君に別れようって言われたとき、いっしゅんだったけど。
私は和也の特別になれたんだってうかれちゃった。
ばかだね、私は。
なんでもかんでも勘違いばっかりして、ゴメンナサイ。
幸せになってください。
今の私はこれしか言うことができないよ。
次回:大切な君の幸せを、いつも願っています。
どんなに君が、私のもとを離れようと。
私は君を。
いつまでも好きでいたい。