05.あか色
今回は、少々長くなります。
では、どうぞ!
いきなりのことに目まんまるにしてる私とイジワルそうに笑う彼。
しばらくたって口を開く和也。
” じゃぁな ”
もっと、ずっと一緒にいたかったのに。
――…あれ、おかしいな。この前まではそんなこと思ってもみなかったのに。
なんでだろ、なんでこんなに寂しいんだろう。
私の口もとからはまだ、彼の香りがかおっていた。
*
「玲菜ぁーおはよっ」
「あっ夏帆ぉーおはよ」
「何々?今日ご機嫌じゃーんっ」
「そぅ?」
「もしかしてっ高梨君と……」
「もー照れるからやめてー」
「こにょーッ一段と可愛くなりやがって」
夏帆に和也と付き合い始めた事を話すと。
夏帆は私を抱きしめてくれた。
こんな私を受け入れてくれて応援してくれる親友がいて。
私は世界一幸せ者だ。
*
「おい和也、やべぇぞ
アイツがお前を探してる」
「アイツ?」
「お前の元カノの、凛香だよ」
「凛香!?何で今さら……」
「分かんねぇでもお前今、やべぇんじゃねぇの?
和泉玲菜と付き合ってんだろ?」
「ああ、付き合ってる」
「だったら逢わせねぇ方が和泉の為だ
凛香、この学校に来るらしいぜ」
「はっ?」
「アイツ何仕出かすか、分かんねぇよ
ちゃんと、ケリつけろよ?」
「……分かってる
俺は玲菜の事が好きだから」
「んーじゃぁ、大丈夫なんじゃね?
和泉の事、大事にしろよな?」
「何でお前が言うんだよっ」
「そんな怒んなよっ
心配してんだよ、和泉を
凛香から、守ってやれ」
「……ありがとな?
葉月」
「おうっ」
葉月と別れてからも、俺はずっと玲菜の事考えてた。
凛香から、守る。
何としてでも。
同じ過ちは繰返えさない。
*
「ねぇ、玲菜?」
「ん?どしたの?」
「今日、転校生来るの、知ってる?」
「えっそなの?」
「やっぱ知らなかったかぁ。」
そう言う夏帆は苦い顔をする。
「えっ何かあった?」
「実はね?その転校生……」
―ガラガラガラ―
「おはよう」
「「「「おはようございまーす」」」」
夏帆の言葉を遮り、先生が入って来た。
騒がしかった教室もとたんに静かになってゆく。
「えー今日は、転校生が来ます」
「「えっまじで?」」
「女?男?」 「どんな子?」
「まぁまぁ、落ち着け。
んーじゃあ、風宮入れ!」
―ガラガラガラガラ―
教室に入って来たのは。
とても可愛らしい、女の子だった。
スラッとした体系に、ふわふわな髪の毛。
大きな瞳が特徴的で、真っ白な肌。
「風宮凛香ですっよろしくお願いしますっ」
その上可愛らしい声。
虜になる男は多いだろうな――…と女子の目が光を帯びたことを彼女はしらない。
「「「「まじ、で?」」」」
皆が驚いた顔をする。
「アイツ、確かモデルじゃね?」 「凛香だよね?あの雑誌のモデルの」 「信じられない、何で凛香が!?」
「あぁー、来ちゃった」
「へっ?どういう事?夏帆?」
「あの子、高梨君の元カノ」
「えっ?
えぇぇぇぇぇぇぇぇ?
元、カノ!?」
「そう。葉月に聞いたから、間違いない
高梨君の元カノの、風宮凛香」
「葉、月?誰?」
「あー、言ってなかった?
あたしの彼」
「そっ、そうなんだぁー」
和也の元カノ、モデルだとは聞いてたけど。
こんなに可愛らしいなんて――…、くらべられたら私おわりだよ。
でも私、和也を信じたい。
「んーじゃあ風宮、席着け」
「はぁ~い」
甘い甘い声で、早から男子と仲良くなる、凛香さん。
そんな彼女は席へと向かわず、真っ直ぐな瞳で和也を見つめる。
「和也?久しぶりだね?逢いたかったよ?」
―キーンコーンカーンコーン―
「おっチャイム鳴った!
んじゃ、静かに休み時間だぁ~」
「「「静かじゃ意味ねぇじゃんっ」」」
先生たちの話なんて、耳にも入らない。
凛香さんの視線が私に届き。
彼女はにっこりと、微笑んだ。
「っ凛香、ちょっ来い」
「……いいよ」
和也が凛香さんの手を引いて、どこかに連れてく。
「玲菜?行かなくていいの?
アンタもちゃんと、話した方が、いぃんじゃない?」
夏帆に背中を押され、私は2人の所へと向かう。
本当は、怖かった。
でも……。
それでも私は、和也を信じたい。
――だけど。
私が今見てる光景は、一体何?
寄り添い合う二人がキスしてる光景――
start four love.
次回:やっと結ばれたと思った。
私の考えは甘いのかな?
和也の事が、こんなにも好きなのに・・・。
近くにいるのに・・・。
何故か、彼を遠く感じた。