03.しろ色
三角関係の幕開けです。
でわ、どうぞ。
「――…好きだ」
「えっ……」
「だからっ俺は玲菜の事が、好きなんだよっ」
幼馴染の健に告白された。
彼は私の隣の席。
ただの幼なじみ――…、だったのに。
……好きだって、言われた。
「――…ごめん
私、好きな人がいるんだ」
「……高梨、か?」
「……うん
和也の事が、大好きなんだ」
「……そっか、分かった」
*
ごめんね健……。
私は今まで、君を1人の男として、見ていなかったのかもしれない。
私が1人の男として見ていたのは――…和也なんだ。
私は、和也というたった1人の男がどうしようもなく好きなの。
入学式の日……。
桜が舞い降りた一瞬の瞬間私は恋を知った。
「ねっ君ランス学園の生徒だよね?新入生でしょ?」
「………えっ?」
「俺も新入生なんだけど、道に迷っちゃって……」
「……?」
「一緒に行ってもいいかな?」
突然響いた少し低めの声。
顔あげたら綺麗な容姿した男の人が立ってた。
だけどその人はどことなく悲しそうな顔をする。
そんな顔とは対照に私の手を握り締めた。
「えっ手?」
私の問いかけに彼は、にっこりと頬を緩ました。
そんな彼が眩しくって、思わず手を引っ込めた。
その時彼は曇った表情を浮かべた。
今の曇った顔――…。
いつもの冴えない私の顔に似ていた。
この時だったかな。
私が和也を好きになったのは。
「「あっ桜」」
にっこりと微笑む彼に、私もまた、微笑みかける。
私たちが幸せそうな顔をしたのは、満開に咲き誇る桜の木が、私たちの目の前にあったから。
「……綺麗」
「本当、綺麗」
「名前、教えて?」
「えっ?桜の名前?」
「違う違う、君の名前」
「私?――…玲菜」
「玲菜か、綺麗な名前だな」
「そんな事ないよ、君は?」
「俺は、和也」
「和也――…、君こそ綺麗な名前」
「初めて……」
「えっ?」
「初めて綺麗って言われた、今まで格好良いとしか、言われた事なかったから」
「そうなの?綺麗なんだけどな……」
「……ありがとう玲菜」
初対面だった彼に、こんなにも救われた。
私だって名前、綺麗なんて1度も言われた事なかった。
こんな名前、嫌で仕方が無かったのに……。
君に名前を呼ばれると、どうしても振り向いてしまうんだ。
初対面の人だったのに。
私は、初対面の君に恋をした。
初恋でした。
*
「んでっ、アンタの初恋が始まったと」
「うんッ」
「そんで?健はどうすんの?
今日は来てないみたいだけど」
「そうなんだよー、夏帆ーお助けを……」
「あたしは知らないねっ」
「えぇー」
「ごめんねー今日デートなんだぁ」
「うー、デートずりぃー」
「アンタも彼氏、作んなさいなっ」
「私は片思いだけで満足だもんっ」
「あそっ、じゃっ、またねー」
「デート楽しんで来てくだしゃいな」
「りょーかーい」
夏帆の笑顔はいつも以上に綺麗だった。
きっと恋してるからだと思う。
ああ、私も夏帆みたいに自信を持って恋ができるようになりたい。
次回:ーーー好きだーーー
そんな想いを抱えても、彼の気持ちは分からない。
ちゃんと、伝えるの・・・。