↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

仮病鑑定団

作者: 魔天破C
掲載日:2026/10/22

「暇だなー、テレビでも見るか、、お! 鑑定団やってんじゃん! これ、好きなんだよなー」


ピッ


☆☆☆☆☆☆☆☆


「依頼人の登場です!!」


きらびやかなセットで、司会の有名なお笑い芸人がその甲高い声を張り上げる。


「東京都にお住まいの、山田太郎さんです。」


アシスタントの女性の声とともに、セット中央のカーテンが開いた。


どこにでもいそうな普通の中年男性が登場した。


司会は上手にその男性をイジリながら場を和ませ、いよいよ番組の本筋へと進行していく。


「では、さっそく依頼内容をお聞きしましょう。」


「はい、昨日から寒気と体のだるさがあり、食欲もなかったので、少なめの夕食をとって早めに寝たのですが、頭痛もあり、よく眠れなかったんです。」


「ほー、それはお辛かったですね、」


司会は上手に相槌を打ち、男性は続ける。


「はい。今朝も寒気やだるさ、頭痛の症状が続き、のども少し痛くなってきたようです。きっと風邪だと思うのですが、、、」


たしかに、男性の声は少し枯れているようだった。


☆☆☆☆☆☆☆☆


「では、ご診察のお時間です。」


司会の言葉で、どことなく胡散臭いような医者が現れた。


観覧客はこの日一番の拍手を惜しみなく送る。


彼がこの番組の名物ドクターなのである。


胡散臭い医者は、神妙な顔で男性の診察を始めた。


もちろん、番組おなじみのBGMも流れている。


男性の様態を一通り見た後、診察が終わったらしいドクターは、自分の持ち場、セットの左端の椅子へ帰っていった。


横にはそれぞれの科の医者が5人ほど横ならびに座っていて、その後ろには大きな招き猫のセットに、電卓のようなモニターが光っている。


☆☆☆☆☆☆☆☆


「では、ご本人の、評価体温は?」


司会がここぞとばかりのキメ顔で男性に聞いた。


「えー、38度7分で。」


「お~~~~~」


男性の答えに、観覧席はどよめく。


「ほー、38度7分ですか、大きく出ましたね。もし、評価体温以上でしたら、どうしますか?」


「会社を休みます!!」


司会の質問に、男性はガラガラ声で嬉しそうに答えた。


観覧席からは、ドッと笑いが起きる。


☆☆☆☆☆☆☆☆


「わかりました。では、実際の体温を見てみましょう。オープン・ザ・ボディ・テンパチャー!!」


司会が医師団の上のモニターを指し示すと、大きな招き猫の腕が動き出し、モニターの数字が変動していく。


「34、34.5、35、35.5・・・」


招き猫から発せられる機械音声は、どんどん数字を大きくしていく。


「37.5、38、38.5、39」


機械音声は39と発するとピタッと止まった。


モニターには39.2℃と表示されている。


「39.2度ーーー!!!!」


司会のお笑い芸人は、この日一番の大声を張り上げた。


観覧席からは割れんばかりの拍手。男性は大きくガッツポーズをした。


☆☆☆☆☆☆☆☆


司会が興奮気味に切り出す。


「やりましたねぇ、39.2度。評価体温を大きく上回りました。これで心置きなく会社を休めるんじゃないですか!」


「はい、今から会社に連絡しようと思います!トモミー!遊園地行こー!」


男性は観覧席の少女に手を振った。さっきまでのガラガラ声は嘘みたいに治っている。


「最後に、お医者様からのご講評です。」


そんなことも気に留めず、司会がドクターに講評を促した。


「完全に風邪ですね。目も充血していましたし、心拍数も早くなっています。鼻水もこれから出だすでしょうね。お薬を出しておきます。」


医者は淡々と話した後、ニヤリとしながらお決まりのセリフを放った。


「お大事になすってください。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。