仮病鑑定団
「暇だなー、テレビでも見るか、、お! 鑑定団やってんじゃん! これ、好きなんだよなー」
ピッ
☆☆☆☆☆☆☆☆
「依頼人の登場です!!」
きらびやかなセットで、司会の有名なお笑い芸人がその甲高い声を張り上げる。
「東京都にお住まいの、山田太郎さんです。」
アシスタントの女性の声とともに、セット中央のカーテンが開いた。
どこにでもいそうな普通の中年男性が登場した。
司会は上手にその男性をイジリながら場を和ませ、いよいよ番組の本筋へと進行していく。
「では、さっそく依頼内容をお聞きしましょう。」
「はい、昨日から寒気と体のだるさがあり、食欲もなかったので、少なめの夕食をとって早めに寝たのですが、頭痛もあり、よく眠れなかったんです。」
「ほー、それはお辛かったですね、」
司会は上手に相槌を打ち、男性は続ける。
「はい。今朝も寒気やだるさ、頭痛の症状が続き、のども少し痛くなってきたようです。きっと風邪だと思うのですが、、、」
たしかに、男性の声は少し枯れているようだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆
「では、ご診察のお時間です。」
司会の言葉で、どことなく胡散臭いような医者が現れた。
観覧客はこの日一番の拍手を惜しみなく送る。
彼がこの番組の名物ドクターなのである。
胡散臭い医者は、神妙な顔で男性の診察を始めた。
もちろん、番組おなじみのBGMも流れている。
男性の様態を一通り見た後、診察が終わったらしいドクターは、自分の持ち場、セットの左端の椅子へ帰っていった。
横にはそれぞれの科の医者が5人ほど横ならびに座っていて、その後ろには大きな招き猫のセットに、電卓のようなモニターが光っている。
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「では、ご本人の、評価体温は?」
司会がここぞとばかりのキメ顔で男性に聞いた。
「えー、38度7分で。」
「お~~~~~」
男性の答えに、観覧席はどよめく。
「ほー、38度7分ですか、大きく出ましたね。もし、評価体温以上でしたら、どうしますか?」
「会社を休みます!!」
司会の質問に、男性はガラガラ声で嬉しそうに答えた。
観覧席からは、ドッと笑いが起きる。
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「わかりました。では、実際の体温を見てみましょう。オープン・ザ・ボディ・テンパチャー!!」
司会が医師団の上のモニターを指し示すと、大きな招き猫の腕が動き出し、モニターの数字が変動していく。
「34、34.5、35、35.5・・・」
招き猫から発せられる機械音声は、どんどん数字を大きくしていく。
「37.5、38、38.5、39」
機械音声は39と発するとピタッと止まった。
モニターには39.2℃と表示されている。
「39.2度ーーー!!!!」
司会のお笑い芸人は、この日一番の大声を張り上げた。
観覧席からは割れんばかりの拍手。男性は大きくガッツポーズをした。
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司会が興奮気味に切り出す。
「やりましたねぇ、39.2度。評価体温を大きく上回りました。これで心置きなく会社を休めるんじゃないですか!」
「はい、今から会社に連絡しようと思います!トモミー!遊園地行こー!」
男性は観覧席の少女に手を振った。さっきまでのガラガラ声は嘘みたいに治っている。
「最後に、お医者様からのご講評です。」
そんなことも気に留めず、司会がドクターに講評を促した。
「完全に風邪ですね。目も充血していましたし、心拍数も早くなっています。鼻水もこれから出だすでしょうね。お薬を出しておきます。」
医者は淡々と話した後、ニヤリとしながらお決まりのセリフを放った。
「お大事になすってください。」




