応援
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「頑張れ。」
「え……あさぎちゃん?」
「頑張れ頑張れきはだ。」
あさぎは突然きはだの耳元で応援の雨を浴びせた。
「怖い怖い怖い怖い!?」
「やっぱりかぁ……。」
あさぎは何かを確信したようにガクンと肩を下ろした。
「今日はどうしちゃったのぉ?」
「いや、応援されると力が湧いてくるって……あるじゃん。」
「あ〜、少年マンガとかによくあるねぇ。」
「あれが理解できなくて。」
「で、今の奇行に至るわけだねぇ。」
「奇行?」
「何の脈絡もなく耳元で応援されても怖いだけだよぉ……。」
「そうかぁ……。でもあれだよね、耳元で甘い声で『頑張れ♡頑張れ♡』ってされると
「あさぎちゃんが汚れちまったぁ。」
「『ちまった』……?」
「おおっと、もともと……いや、穢れそのものだったか。」
「そこまで言う……?」
「う〜ん、あさぎちゃんは応援されて力が湧いてきた経験とかないのぉ?」
「あると思う?」
「よし、この話は終わりにしよう。」
「きはだは?」
「人に応援されるような殊勝な人生……送ってるように見える?」
「……応援0対、怨み100って感じ。」
「ははっ、違いねえや。」
「哀しいなあ……。」
あさぎときはだは揃って深いため息をついた。
「……応援されて力が湧くかはわからないけど、応援する側は熱い展開なんじゃないかなぁ?」
「ヒーローショーとか、煽ってるよね。」
「煽るねぇ。」
「でもあれって悪者側からしたらとんでもない理不尽だよね?1対1か数的不利でも優勢だったのに……。」
「ヒトは集団で嬲るのがだぁ〜い好きな生き物なのさ。」
「醜いなあ。」
「醜いねぇ。」
「あ、でもスポーツ観戦はどっちの応援席もすごい叫んでるよね。」
「初見さんが何言ってるかわかんないやつだねぇ。」
「選手の人も何言われてるのかわかってるのかな?」
「わたしなら『うるせえ!』って思うかなぁ。」
「お〜、さすが悪役。」
「怨み100%だからねぇ。」
「断面の写真載っけるやつ?」
「誰がジュースじゃい。」
「よく考えたら断面はグロいからいいや。」
「よく考えないとわかんないことか……?」
「……ま、いいや。きはだは静かに見守られたいタイプなんだね。」
「将棋とかチェスは静かに見守るでしょ〜?」
「アレで大声出してたら確かに『うるせえ!』ってなるなあ。」
「あさぎちゃん、お主も悪よのう?」
「いえいえ、お代官様程ではありやせんよぉ、」
「「ゲヘヘヘヘ。」」
「え……なに?」
白ちゃん入室。
「あ、白ちゃん先生。」
「今ね?応援って邪魔だよね〜って話をしてたんだぁ。」
「うわ〜、わっる……。」
「「ゲヘヘヘヘ。」」
「それで悪者っぽく笑ってるわけね。」
「はい。」
「でもあんまり人の気持ちを無碍にしちゃダメよ?応援する人は自分の勝ちを望んでくれてるんだから。」
「白ちゃん先生は応援されるとバフかかりそうですよね。」
「ラスト5秒で逆転されそうだよねぇ。」
「プロレスラーじゃないんだから。」
「血みどろになって這いつくばってるときに声援送られると立ち上がれる……気がしません?」
「あのねぇ……血みどろになって這いつくばるシチュエーションなんてないでしょ。」
「例えばのはな
「いい?喧嘩は血みどろになるまで長引かせちゃダメなの。1番強そうな相手だけをさっさと仕留めた方が早く終わるし、怪我人も減らせるでしょ?」
「お、oh……。」
「白ちゃん先生って、もしかして
「はあ!?ないないない!?冗談よ〜、オホホホホ!」
「「……。」」
「と、とにかく!応援されて邪魔に思う人もいれば、応援されて力をもらえる人もいるのよ。」
「白ちゃんは〜?」
「私はどんどん応援して欲しいかな?」
「へ〜、」
「さて、と。」
話に一段落つけた白ちゃんは自前のパソコンを開いてキーボードをカタカタ鳴らし始めた。
「……。」
「……。」
あさぎときはだは無言でうなずくと、
「「頑張れ頑張れし、ろ、ちゃん!」」
「「頑張れ頑張れし、ろ、ちゃん!」」
2人揃って白ちゃんの背後で渾身のエールを捲し立てた。
「そこだ!押せーー!」
「キーボードがなんぼのもんじゃい!」
「いてまえーー!」
「はったおせーー!」
「頑張れーーー!」
「白ちゃーーーん!!」
「うるせえ黙れッ!!」
※応援するときは時と場面を選びましょう。
あーかい部!(4)
あさぎ:投稿完了!
ひいろ:今日は何の話をしたんだ?
白ちゃん:話というか……
きはだ:白ちゃんを応援してた
ひいろ:何それ面白そう
白ちゃん:面白がったら冷やかしなのよ……
きはだ:ねえねえお隣さん
あさぎ:お?ご指名とは嬉しいねえ♪どーしたきはだ!
白ちゃん:毎度毎度よく来るわね
あさぎ:そりゃあ『仲良く』ヤラせてもらってるからね
白ちゃん:まさか手ぇ出してないでしょうねえ?
あさぎ:ところできはだちゃんは〜?
きはだ:はいはいっ!
きはだ:白ちゃん先生って喧嘩強い?
あさぎ:強いかって?
白ちゃん:相応の報復は覚悟の上だろうな?
あさぎ:オネエチャン、ヤサシイ。ケンカ、ヤバン、シナイ。
きはだ:くっ……、
白ちゃん:あんまり人の過去は詮索しないことね。ほれシッシ
あさぎ:お隣さん壊れたおもちゃみたいになっちゃったんですけど……
きはだ:おかえり〜
あさぎ:ただいま
白ちゃん:壊れてるのはもともとよ
ひいろ:お隣さんと入れ違っちゃったな
きはだ:またまたおかえり〜
白ちゃん:本来は4人のトークルームなのよここ
あさぎ:ひいろは応援されたらどうなるタイプ?
きはだ:やっぱり『頑張れー!』って叫ばれたい?
ひいろ:ワタシは……大声で声援を受けるよりも、大事な人に短い言葉をかけてもらう方が勇気をもらえるな
きはだ:おやおやぁ?これは恋人か?恋人なのかぁっ!?
ひいろ:お婆ちゃんだよ
きはだ:ちぇっ
あさぎ:お婆ちゃんっ子が……!
ひいろ:最近はよくおばさんにもお世話になっているけどな
白ちゃん:おばさん?
ひいろ:白ちゃん、知らないのか?
白ちゃん:え、なになに?
ひいろ:そういえば、ワタシからは話してなかったか
きはだ:もったいぶるねぇ〜、
ひいろ:おばさんっていうのは教頭先生のことだぞ
きはだ:おやぁ?
あさぎ:白ちゃん先生?
きはだ:お〜い
白ちゃん:ぎゃぁぁぁぁああああ!!!???
白ちゃん:上司のご子息!!??
白ちゃん:死んだ……終わりだ
きはだ:白ちゃんが壊れたおもちゃみたいになっちゃった
ひいろ:すまない、おばさんといってもお婆ちゃんの妹だ。
きはだ:たぶんそこじゃないと思う
あさぎ:なるほど、だからひいろちゃんはすみ姉にタメ語なのか……
ひいろ:いや、それは関係ないぞ?
あさぎ:そうなん?
ひいろ:ああ、これは白ちゃんに頼まれてやってることだからな
白ちゃん:あああの、お嬢?あーかい部のこと、どこまで教頭先生に
きはだ:お嬢www
ひいろ:どこまでも何も、読者の1人だぞ?
ひいろ:投稿された内容はひと通り見てるんじゃないか?
ひいろ:あとお嬢はやめてくれ
白ちゃん: くぁwせdrftgyふじこlp!!??
きはだ:壊れちゃったデスゥ……
ひいろ:何か不味かったか?
あさぎ:不味くはないけどお隣さんが私の後ろで転げ回ってる
きはだ:これは明日から学校が楽しみですなぁwww
あさぎ:悪魔か




