表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/24

タネ(新作エピソード)

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「……、」




白ちゃんは独り、パソコンのキーボードを打ち鳴らしながらパーティー開けしたミックスナッツの袋へと手を伸ばしていた。




「行儀悪いぞ?」


「ザ・おつまみって感じですね。」




ひいろ、あさぎ入室。




「いーのよ別に。ここはフォーマルな場じゃないんだから。」


「だとしてもキーボードに油がつかないか?」


「うわ……、油ついた手で本とか触る人はちょっと……。」


「……だ、そうだ。」


「フフ、それはどうかしら……?」




白ちゃんは不敵な笑みを浮かべると、器用に右手だけでパソコンを操作して左手だけでナッツを貪った。




「お〜、ワンハンドタイピング。」


「なんて怠惰な……。」


「オーーーッホッホッホ♪♪何が何に付くんだったかしらぁ〜?」


「こんな大人にはなりたくない……。」


「それはそうと2人も食べていいからね?」


「わーい。」


「……いただくけど。」




ひいろとあさぎは席についてミックスナッツを貪り出した。




「なんだか懐かしい味ですね。」


「大人になったら特別感なんて無くなるわよ。」


「まあ、ナッツだしな。」


「懐かしいと言えば、子どもの頃お庭に埋めたら沢山採れると思ってばら撒いたこともあったっけ……♪」


「なんですかその可愛いエピソード。」


「素直に可愛いって言いなさい……!」


「ローストされてるから発芽しないんだけどな。」


「発芽しちゃったら輸送できないもんね。」


「この子ら、情緒とか童心とか無いんか……?」


「その辺に撒いて来ちゃいました。」


「大きく育つと良いんだがな。」


「コイツらぁ……!」


「あ、ひまわりの種。」




あさぎが広げられた袋の底の方からひまわりの種を摘み出した。




「そんなのも入ってるんだな。」


「種美味しいわよね〜。」


「育ててみるか?」


「しつこい。」


「手、止まりませんね。」


「ほんとよね〜。」


「あんまり食べ過ぎると肌が荒れるんだが……。」


「そこは三人で(いた)みわけってことで♪」


「明日顔、念入りに洗わないと……。」




部室にはポリポリとナッツを貪る音だけがこだました。




「なんか、こう静かだと……。」


「今の雰囲気、小動物感ありますよね。」


「どういう雰囲気よ。」


「こう、ハムスターとかが食べてる所を黙って見つめちゃう的な……。」


「言い得て妙だな。」


「まあちょっとわかるかも。」


「……アイツら、もの凄い速さで噛んでるんだな。」


「私たちの比じゃないわよね。」


「体内時計の速さが違いますからね。」


「確か、身体が大きいほど遅いんだったか。」


「ハムスターとかめっちゃ生き急いでるもんなあ……。」


「ま、私たちはゆっくり食べりゃ良いのよ。」


「白ちゃんの肝臓はもの凄く生き急いでいるように見えるが?」


「うっせ。」


「…………。」


「ん?どうしたあさぎ、ひまわりの種なんか見つめて。」


「いやあ、ハムスターといえばひまわりの種なイメージってどこから来たのかな〜って。」


「そりゃもう、アレでしょ。『だ〜い好きなのは〜♪』ってヤツ。」


「すみませんよく聞こえなかったのでもう一度。」


「え?……『だ〜い好きなのは〜♪』ってヤツ。」


「すまんワタシからももう一度お願いしたい。」


「……アンタら私に歌わせたいだけかい。」


「「バレたか……。」」


「おいこら。」




白ちゃんは伸びをしてパソコンの画面を閉じた。




「終わったのか?」


「ええ。ナッツ噛んでると集中できるものね。」


「作業をするとき適度な雑音があると効率が上がるって言いますけど。」


「まあ、そのためにここに来てるのもあるかもねえ……。」




白ちゃんがナッツを貪るペースが上がった。




「そんな口いっぱいに頬張るものじゃないだろう。」


「ほお?」


「ハムスターが可愛いのはハムスターだからなんだなあ……。」


「おい。」




白ちゃんがナッツを飲み込んだ。




「別に良いじゃない、こういうちょっとずつ食べる系のものを口いっぱいに頬張るのって……憧れ、あるでしょ?」




「「ないと言えば嘘になる(ります)。」」




「でっっしょ〜〜??今なら人目も(はばか)らず頬張り放題よん♪」


「なあ白ちゃん、今更だが……、」


「このナッツ……、」




ひいろとあさぎはテーブルのほとんどを占拠していたナッツの開いた袋に視線を落とした。




「「どんだけ1人で食べるつもりだったんだ(ですか)……?」」








あーかい部!(4)




ひいろ:投稿完了だ


白ちゃん:お疲れ様♪


あさぎ:まだお腹いっぱいなんですけど


きはだ:また買い占めぇ?


白ちゃん:いつも人が公売買い占めてるみたいに言わないの!


ひいろ:買い占めてるじゃないか


あさぎ:買い占めてない日……


白ちゃん:ま、まあ良いわ読んで来ましょう




白ちゃん:やっぱナッツの話になるわよね


ひいろ:喋るより食べている時間の方が長かったからな


きはだ:お肌大丈夫ぅ?


あさぎ:考えないことにした


白ちゃん:だって美味しいんだもん


ひいろ:しっかしまあ、どこであんな特大サイズ売ってるんだ


白ちゃん:海の向こう


あさぎ:どうりで英語で書かれてたわけですね


きはだ:わざわざつまみ取り寄せてるとかやばくて草ァ!


白ちゃん:取り寄せた方がグラム単価安いのよ


ひいろ:よくあんなに食べて太らないな


白ちゃん:う〜ん、体質?


あさぎ:前世 齧歯類(げっしるい)だったりします?


白ちゃん:前世カブトムシでもネズミでもないからね?


ひいろ:まあ穀物が好きなのは哺乳類だからだろうな


きはだ:鳥さんも種好きだよぉ?


あさぎ:あ、確かに


白ちゃん:種って美味しいからね〜


きはだ:お米も小麦も種だからねぇ


あさぎ:一つ一つが命なんだよね


ひいろ:それをよくもまあ、雑にボリボリと


白ちゃん:生きるということは他の命を喰らうということなのよ


あさぎ:重いなあ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ