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おでん(新作エピソード)

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「んむむ……、」


「どうした怖い顔して。」




きはだが険しい顔つきでスマホを見つめていると、ひいろが部室に入って来た。




「贅沢なやつめぇ……。」


「贅沢?」




ひいろがスマホの画面を覗き込むと、そこには美味しそうな油揚げの写真が映っていた。




「……油揚げが、か?」


「結構手間かかってるんだよぉ?」




きはだがスマホの画面をスイスイと送っていくと、そこには油揚げの作り方が詳細に書かれていた。



「木綿豆腐を低温で揚げて、さらに高温で揚げるのか……。確かに手間だなあ。」


「これでも家庭用のレシピなんだよぉ?」


「そりゃ、お店とかプロは本格的にやるんだろうが……。これがどう贅沢に繋がるんだ?」


「……、」




きはだは無言で両手でそれぞれキツネの形を作った。




「あ〜、お稲荷様。」


「お供えなんて、生の作物でもお腹膨れるのにねえ?」




きはだは裏声でキツネを形作った手をパクパクさせた。




「……。」


「……ネエ?」


「わかったからキツネに喋らすのやめろ。」


「お稲荷様相手に不敬だぞっ。」


「髪ハムハムすな。」


「お、面白そうなことしてるわね♪」




白ちゃん入室。




「やあ、白ちゃんっ。」


「キツネ続行するのか……。」


「今日は陰絵の日?」


「油揚げだな。」


「え……?」


「聞いてよ白ちゃんっ。油揚げって作るのにめちゃくちゃ手間かかるのにめっちゃ安いし雑に僕たちキツネの所にお供えされちゃうん……だっ。」


「もしかして、今日ずっとこれなの……。」


「指つりそうだからやめるぅ。」




きはだは両手をブラブラさせて両手のキツネをデストロイした。




「やっぱそっちのが良いわよ。」


「だな。」


「いやぁ照れるぜ。」


「そういえば、なんで油揚げなんて調べてたんだ?」


「おでんを作ろうと思ってねぇ。」


「冬でもないのにか?」


「甘いわひいろちゃん。冬でもないのにガンッッガンに冷房効かせてこたつの中でキンッキンの日本酒片手に食べるおでんは格別なのよ……!」


「うへぇ急に喋り出したぁ……。」


「酒狂いだな。」


「うっせ、アンタらもそのうち虫みたいに夜のコンビニに吸い寄せられるようになんのよ。」


「コンビニのおでんか……ちょっと憧れはあるけどな。」




「「え!?コンビニのおでん食べたことないの!?」」




「あ、ああ……。屋台とかで食べるものじゃないのか?」


「か〜〜〜〜ッ!これだから最近の若い子はぁ……。」


「アンタも同い年やろがい。」


「い……良いじゃないか食べたことなくたって。どうせおばあちゃんの作るおでんがこの世で1番美味いんだからな……!」


「「…………。」」


「……なんだ?」


「ひいろちゃん……、」


「な、なんだよ?」




「「おばあちゃんっ子なんだぁ……♪」」




「お、おいなんだ!?……ホッコリするんじゃないっ!///」


「……よし!ひいろちゃんは一生コンビニおでん禁止。」


「なんでだよ!?」


「孝行しろっ。」


「キツネでハムハムすな。」


「あ!そうそう、油揚げの話だったわね。」


「そうそう!おでんに使う油揚げと言ったら餅巾着だよな!」


「チッ、逃げられたか……。」


「あれ買ってすぐ食べようとすると口やけどするからあんまり好きじゃないのよねえ。」


「冷ませば良いじゃないか。」


「冷ましたって味薄いじゃない。」


「白ちゃん普段どんな食生活してるのぉ……。」


「そのうちアンタらもわかるようになるわよ。」


「薄味が美味しくないなら、おでんなんてほとんど楽しめないんじゃないか?」


「そうだそうだぁ〜、和食は繊細なんだぞぉ〜!」


「……おせち。」


「くぅっ、負けた……ッ!」


「即落ちかよ。」








あーかい部!(4)




きはだ:とーこー!


白ちゃん:お疲れ様♪


あさぎ:お〜なんか来てる


ひいろ:今日は油揚げ……じゃなくておでんの話になったな


あさぎ:おでん食べながら読もっと


きはだ:コイツおでん買ってやがったな


白ちゃん:実は私も買ってたりして……


ひいろ:みんなおでんなんだな




あさぎ:油揚げって豆腐なんだ


白ちゃん:感想そこなのね


ひいろ:原料知らないまま食べてるなんてこともよくあるからな


きはだ:練り物が魚ってのも衝撃だよねぇ


白ちゃん:なめろうみたいなもんと考えれば


あさぎ:肴だなあ


ひいろ:諦めろ、白ちゃんにかかれば固形物は皆等しく酒の肴だ


白ちゃん:いったい私をなんだと思ってんのよ


ひいろ:アル中

あさぎ:酒カス

きはだ:大吟嬢


白ちゃん:だんだん酒になってくのやめんかい

白ちゃん:あ!よくみたら最後酒じゃねえ!?


あさぎ:お酒は大吟醸ですね


ひいろ:まあ声のでかい酔っぱらいなら間違いではないな


白ちゃん:そんな普段から酔ってないわよ


きはだ:今はぁ〜?


白ちゃん:酔ってはないわよ


あさぎ:『は』


きはだ:飲んでて草ァ!


白ちゃん:うるさいわねえ

白ちゃん:お酒だってお米なんだから餅巾着みたいなもんよ


ひいろ:あんまり好きじゃなかったんじゃないのか?


白ちゃん:味噌つけりゃだいたい食えんのよ


きはだ:繊細な味付けがぁ……


白ちゃん:焼きおにぎりにだって味噌つけんでしょ


きはだ:くっ、負けた……!


ひいろ:コイツいつも負けてるな

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