ランドセル(新作エピソード)
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「……。」
「……。」
白ちゃんが1人待つ部室にあさぎがやって来た。
「……………………一応聞いておくけど、何それ。」
「何って……、」
あさぎは身体を捻り、背負っていたものを白ちゃんに見せた。
「ランドセルですけど。……知りません?」
「知っとるわい!」
「ですよね〜、流石に白ちゃん先生の頃にもランドセルはありましたよね。」
「そんな昔じゃないのよ。」
「ふう〜。」
あさぎはドサっと音を立ててテーブルの真ん中にランドセルを下ろした。
「中身入っとんのかい。」
「だって、ランドセルですからね。」
「あ〜ダメだ、こりゃ疲れるヤツだ……。」
「大人でも割と楽ですよ?なんなら背負ってみます?」
「いやいいわ……。一応、一応聞いといてあげるけど……どうしたのそれ。」
「やだな〜、池図はカバン自由じゃないですか。……一応学校の買えますけど。」
「ええ、そうよね。そう……。あさぎちゃん昨日まで学校の使ってたわよね。」
「はい。」
「…………悩みでもあるの?」
「悩みはありませんけど……童心なら。」
「うっせ。」
白ちゃんはおもむろにランドセルの肩紐をクイクイ動かして遊び始めた。
「6年間使ってたにしては物持ちが良いわね。」
「これでも物を大切にする方なので。」
「うわ〜意外……。」
「おっとこんなところにちょうどいい鈍器が。」
「大切にせい。」
「……というのは冗談で。大人になって改めて見ると、結構高性能な作りですよねえ。」
「そうね。小学生の肩だけじゃなくておじいちゃんおばあちゃんのお財布も軽くしてくれるし。」
「老後資金……。」
「全国のおじいちゃんおばあちゃんの命の削り節みたいなもんよね〜。」
「あ、もしかして天使の羽がついてるっていうのは……。」
「殺すな殺すな。」
「お、出たなでっかい小学生。」
ひいろ入室。
「白ちゃん先生、防犯ブザーならして良いですか?」
「ダメに決まっとるやろがい。」
「ちぇっ……。」
「しっかしまた懐かしいものを持って来たよな。」
「ひいろも背負って来て良いんだよ?」
「断る。不審者にはなりたくないんでな。」
「ふ、不審……者……!?」
「自覚なかったんかい。」
「小学生なんてそこら辺でランドセル背負って闊歩してるのに……!?」
「大人がやったら不審者なのよ。」
「…………帽子か?」
「被ったところで不審者だぞ。」
「もういっそ池図の校章を刺繍してやろうか……。」
「風評被害も甚だしいわね。」
「そうですか?高校生にもなってランドセル投稿してるとこなんて他にありませんし、良いアピールになるかもですよ?」
「『高校生にもなって』が全てなのよ……。」
「いったいランドセルの何がそこまであさぎを駆り立てるんだ?」
「この間見たアニメのロボの背中にランドセルくっついてた……!」
「そっちかあ……。」
「え?ロボットもランドセル背負ってるの?」
「見たことないか?背中にくっついてる四角いのでジェット噴射してるとこ。」
「あ〜、確かにそんなイメージかも。」
「ちょっと前に話題になった二足歩行で走るロボットにもついてましたよ?」
「あれは外付けのバッテリーって感じだけどな。」
「なるほど……ロボットの背中に色々くっつけるのは合理的なのね。」
「両手空きますし。」
「未来のランドセルはジェット噴射で飛べるようになっていたりするのだろうか……。」
「現実で背中からジェット噴射したら頭から地面に突き刺さっちゃうわよ。」
「確かに、重心から離れ過ぎてると回転しちゃうな。」
「う"……っ、」
あさぎが突然苦しみ悶えた。
「やめろぉ、私の前で機械工学の話を、するなぁ……っ!」
「出たな、理系アレルギー……。」
あさぎは理系科目万年補修のため大の理系アレルギーであった。
「この子、ピタゴラスイ○チとか見せたら死んじゃいそうね……。」
「小学校から学び直すんだな。」
あーかい部!(4)
あさぎ:投稿完了
白ちゃん:お疲れ様♪
きはだ:小学生に混ざって帰ったぁ?
あさぎ:時間が合わなくて
白ちゃん:合わすな
ひいろ:ランドセルのCMって一年中やってるけど、夏とか誰が買うんだろうな?
白ちゃん:さあ?
あさぎ:やめるんだひいろ……!
きはだ:子持ちトークは白ちゃんに効く
白ちゃん:どういう意味じゃおいこら
ひいろ:強く生きてくれ
きはだ:モリモリ食べて強くなろう!
白ちゃん:キャラものウインナーのCM懐かし!?
あさぎ:ランドセルのCMもその時間帯だよね
ひいろ:子どもがいる家庭がターゲットだからな
あさぎ:ん?妙だな……
きはだ:じゃあなんで白ちゃんが知って……
白ちゃん:子どもの頃見てたのよ!!
ひいろ:長寿だな
白ちゃん:うるせえでっかい小学生ども
きはだ:おん?今きはだちゃんがお子様サイズだって言ったか?
白ちゃん:あ、いやそういうわけじゃ……
あさぎ:飛び火してて草ぁ!
きはだ:すいへーりーべーぼくのふね
あさぎ: 青野あさぎ 此処ニ眠ル 享年十六
白ちゃん:あら懐かしい
ひいろ:周期表覚えたなあ……
きはだ:ちくせう
きはだ:ちょ〜〜っぴり背が高くてお顔がいいからって調子乗ってからに
あさぎ:事実なんだからしょうがない
あさぎ:せうがない
白ちゃん:古文風にせんでいい
ひいろ:身長伸びてくるとランドセル似合わなくなるんだよなあ
あさぎ:なん、だと……!?
きはだ:お?当てつけか?
白ちゃん:そのうちスモックとか着て来そうで思いやられるわ……
ひいろ:きはだ、ご指名だぞ?
きはだ:ぐぬぬ、コヤツらぁ……!




