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イエバエ(新作エピソード)

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。


『アウトオブあーかい部!』は、そんなあーかい部のみんなの活動記録外のお話……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。


……ではなく、学校の近くの公園。




「いやぁ〜、奇遇ですなあ。」


「お休みの日にこんなとこで会うとは……。」




偶然出会したきはだとあさぎは、せっかくなので近くにあった公園で日陰のベンチに並んで腰を下ろして雑談に興じていた。




「学校行くとこだったぁ?」


「私服で?」


「そりゃそうか。」


「きはだこそ、私服で登校?」


「わたしはショッピング行くとこだよぉ。」


「へ〜、服とか鞄とか?」


「小麦粉とか油とか。」


「うっわあ家庭的……。」


「あさぎちゃんは何しに来たのぉ?」


「本でも買いに……ね。」


「うわ〜年齢詐称だぁ〜。」


「私は大人びてるからいいの。」


「黙ってればカッコいい大人のお姉さんなのにねぇ〜。」


「ふ〜ん?きはだの目にもカッコよく見えるんだ?」


「うっわ、こやつ『も』って言いよった……。」


「だって顔がいいのは事実だもん。」


「……あなたの自信はどこから?」


「熱、喉、鼻の3択……!?」


「いえいえとんでもありやせん。昔からおバカにつける薬は無いもんですぜ。」


「あ〜、お腹がムカムカしてきたかも。」


「お茶飲むぅ?」


「持ってるの?」


「そこで買えるよぉ。」


「自販機……。」




あさぎは烏龍茶の安いヤツを2本買って戻って来た。




「世知辛いなあ。」


「わ〜いあさぎちゃん優し♪」


「いいよいいよ、よく部室で菓子パしてるし。」


「それもそっかぁ。」




お茶を飲み、2人揃って浅いため息を一つ。




「……いや〜それにしても、きはだとこうして並んでお茶飲む仲になるとはねえ。」


「お?お?ちょっと良い話をする気かい?」


「……そんな気分なら付き合うけど?」


「よせやい、コバエAくらいにしか思ってなかった癖にぃ。」


「コバエって……。」


「入学したてのあさぎちゃん、集ってくる子たちを羽虫みたいに煙たがってたじゃない。」


「最初だけね。」


「あさぎちゃんの内面を知るや否や、爆発四散しよったけどねぇ。」


「離散ね?みんな生きてるから。」


「……んで、最もしつこく付き纏った最後の1匹がこのきはだちゃんってわけよ。」


(たで)食う虫も好き好き……ってヤツ?」


「よせやい、きはだちゃんこんな悪趣味してないやい。」


「うわー、ちょっと良い雰囲気が台無しだあ。」


「ま、実際下心があったのは他の羽虫どもと変わんないんだけどねぇ。」


「だからって小説投稿用のアカウント特定して脅迫する?」


「あさぎちゃんを手に入れる為にはなんでもするのさ。」


「え、やだ惚れ……………………、ごめん無理だ。」


「んだと貴様ぁぁあ!?このきはだちゃんの良妻力を愚弄するかぁっ!?」


「未婚なのに?」


「卵焼きの1つも焼けないハリボテ王子様にゃ勝っとるわい。」


「違いない。」




もう一口、お茶を飲むと爽やか……というには少し湿った風が2人の間を吹き抜けた。




「……そんなに私が欲しかったんだ?」


「頼まなくても活字を垂れ流してくれる人材は貴重だったのさ。……己のイタさを顧みずにねぇ?」


「イタいって言うなっ!?///」


「じゃあそう言うことにしておこう。」


「く……っ!なんか負けた気分だ……!」


「そうかねぇ?きはだちゃん達は今、菓子パもできちゃうゆる〜い部活にゆる〜い顧問を手に入れて、薔薇色だと思うけどねぇ。」


「……きったない薔薇。」


「違いない……ッ。」


「あ、こら!脚色すんな!?」


「イテテテwww」


「お、どうしたお腹ムカムカすんならお茶飲むか?」


「そうさせてもらおう。」




またまたお茶を一口。




「……まあでも感謝はしてるよ。」


「やべ、このお茶なんか入って


「ないから……!」


「どうしたんだい薮からロッドに。」


「なんで棒だけ英語なのさ。」


「あさぎちゃん外国語好きでしょ〜?デステニーとかカルマとか。」


「あ、やめてイタい……。」


「お茶お茶。」




またまたまたお茶を一口。




「ふう……。イタさで気を失うところだった。」


「で〜?あさぎちゃんはわたしにどう感謝してくれているのかなぁ〜?」


「もうコバエの季節かあ……。」


「ほらほら言え言えぃ。」


「ひえ〜、イエバエだあ。」


「お家上がり込むぞぉ〜?」


「うわ、派手に嫌なヤツ。」


「あさぎちゃんってお家に他人あげたくないタイプぅ?」


「お子様はね。」


「なにおう!?きはだちゃんがちょっぴりちっちゃいからって調子乗りよってぇ……!」


「はぁ……。18歳になってから出直して来な。」


「……今ので行く気失せた。」


「きはだは家に人あげたくないタイプなの?」


「きはだちゃん以外のDNAが検知されたら発狂。」


「なんかの実験できそう。」


「するでない。」




2人は最後の一口を飲み干した。




「……暑くなる前に行くかなあ。」


「だねぇ。」




ペットボトルを捨てると、2人は公園の出口からを背に、どちらからともなく無言で手を振り左右に別れて歩いて行った。








きはだ、あさぎ(2)




きはだ:[ファイルを送信しました]

きはだ:投稿……はしないっ!


あさぎ:あ、しないんだ


きはだ:秘密にしておいた方が良い思い出もあるものなのさ……


あさぎ:いててててwww


きはだ:なんだとコヤツぅ!?


あさぎ:投稿しないのに記録はするんだ


きはだ:それがあーかい部なのさ


あさぎ:ふ〜ん?

あさぎ:じゃあせっかくだし、唯一の読者として愉しませて貰おうかな




あさぎ:タイトルそれで良いのか……


きはだ:コバエを見るたびに思いだしてねぇ?


あさぎ:それでいいのか(2回目)


きはだ:で、時にあさぎちゃんはきはだちゃんにどう感謝してくれているのかなぁ?


あさぎ:まさかそれ言わせるためだけにこんな手間を……


きはだ:冴えてるねぇ〜


あさぎ:暇なの?


きはだ:うちのコムギが寝てる間はねぇ


あさぎ:ペット?


きはだ:ブレッド


あさぎ:パン……ッ!?


きはだ:仕入れたての小麦粉だよぉ〜♪


あさぎ:買いに行くって言ってたなあ


きはだ:あさぎちゃんの戦果は

きはだ:ごめん聞かなかったことにして


あさぎ:ガチで言われると凹む


きはだ:コムギが膨らんでるからプラマイゼロ

きはだ:[画像を送信しました]


あさぎ:ア○パンマ○?


きはだ:餡子買ってくれば良かったなぁ……


あさぎ:まあきはだが作ったパンなら美味しいっしょ


きはだ:お?お?なんだプロポーズか?


あさぎ:ごめん被る


きはだ:んだとぉ!?


あさぎ:きはだとは軽口叩き合える友だちでいたいからね


きはだ:うっっわコヤツ告白され慣れてやがる


あさぎ:傷つけると後が面倒なんだよ……

あさぎ:まあきはだは傷つけなくても面倒なんだけどさ


きはだ:お、わかってんじゃん


あさぎ:何年きはだと友だちやってると思ってんの?


きはだ:四捨五入したらゼロ

あさぎ:四捨五入したらゼロ


あさぎ:ま、そういうこと♪


きはだ:だねぇ

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