ぶつかりマン
掲載日:2025/10/23
俺はぶつかりマン。
か弱い女性にぶつかって、男の強さを世に知らしめる正義の味方だ。
ドン。
よろめくJK。
『スカートが短いぞ。改めろ』
ドン。
転んで泣きべそになる小学生。
『歳上には挨拶をするようにな』
ドン。
杖をついていたお婆さん。ゴロンとひっくり返る。
『危険だから、年寄りは端を歩き給え』
はっはっは。俺は無敵のぶつかりマンだ。
俺は正しいのだ。俺の指導で彼女らも改めるといい。はっはっは。
ドン。
ムキムキの警察官。
「うわわっ!?」
俺は転んで尻もちをついた。周りの人たちが、転んだ俺を囲んでスマホで撮影している。
カシャ、カシャ、カシャ。
俺は顔を手で隠した。
俺の手首にカチリと冷たい手錠の感触がした。
なんだ。俺は無敵のぶつかりマンだぞ。こんな手錠なんて引きちぎってやるぞ。ぐいぐいぐい。手錠は俺の手首に食い込むだけだ。痛いな。不条理だ。この警官を訴えてやるからな。覚えてろ。
僕は、身体は諦めてぐったりしているのに、頭の中は威勢の良い自分を滑稽だな。と思った。
俺は、ぶつかりマン。
ぶつかりマンの正体は、僕。
僕は、弱い者いじめしかできない哀れなオジさん。




