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マフラーが拾ってくる
外から帰ってマフラーを外したとき、
ころりと小さな石が落ちた。
どこかで引っかかったのだろうと思い、
そのまま玄関に置いておいた。
次の日も石が落ちた。
三日目には、ビー玉が一つ転がり出てきた。
風の強い日でもなかったのに、
マフラーのどこに挟まっていたのか分からない。
そのうち、外出するたびに
なにかしらが私の足元に転がるようになった。
小さな靴、折れたクレヨン、古い鍵。
重さは変わらないのに、
マフラーだけが確実に“何かを連れて帰ってくる”。
ある日、帰宅していつものようにマフラーを外すと、
それは音を立てて畳の上に転がった。
小さな子どもだった。
丸く縮こまったまま、
眠っているのか、息をしているのかも分からない。
ただ、マフラーの内側はほんのり温かかった。
私は、どうすればいいのだろう。




