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体温計

体調を崩したわけではない。ただ、なんとなく熱っぽい気がして、枕元に置いてある体温計を手に取った。ピピッと鳴って取り出した瞬間、ぞっとする。


一瞬、体温計が白いプラスチックではなく、濡れた骨のように見えたのだ。思わず瞬きをして見直すと、もう普通の体温計に戻っている。見間違いだと自分に言い聞かせて、深く考えないようにした。


翌日もまた、同じように体温を測った。今度は、取り出した体温計が赤黒い塊に見えた。形は定まらず、肉とも血ともつかない。鼻をかすめた鉄臭さが、なかなか消えなかった。


さらに翌日。体温計は、どろりと濡れた何かに見えた。握った手の中でぬるりとした感触が広がったが、目を逸らした一瞬で、やはり普通の体温計に戻っていた。手のひらには水滴のようなものが残り、それもまたすぐに乾いてしまった。


その次の日。もう体温を測る必要などなかった。それでも、なぜか体が勝手に体温計を掴んでいた。ピピッと音が鳴る。恐る恐る取り出した瞬間、今度ははっきりと見えた。


——正体はわからない。ただそれを見た途端、口の中から舌の感覚が消えていた。

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