犯人逮捕
中谷は朝から資料を読み漁り、何か手がかりになるものはないかと考えていた。また、午前4時くらいに三笹が被害者の死亡推定時刻の5分後に被害者の家で電力が使われていたということを教えてくれた。
中谷は加藤が犯人だと確信しており、そのトリックを見破ろうと頑張っていた。
ここまで出てきたなぞは
・死体に刻まれていた㊉の模様
・数日前に起きた事件との関連性
・『刑事』と名乗る怪しい男
・死後硬直の謎
4つあるのだが、1つも解けそうにない。
しかし、中谷は聞き込みした内容をまとめている手帳をめくりながら見ているとあることに気づいた。加藤は戦国武将のことが好きで、部屋にも刀などがあるほどで一番好きなのは島津義弘と言っていた。中谷は大学を出ているが戦国武将などは詳しくない。だが、そんな中谷でも覚えていることがあった。それは、島津家の家紋は被害者の死体に刻まれていた印と同じで㊉だということだ。
中谷は、こう考えた。加藤はなんらかの理由で被害者夫婦を恨んでおり、まず絞殺したあとに自分が好きな戦国武将の家紋を模した印を被害者に刻んだ。被害者の死体は司法解剖の為まだ警察が持っているので、担当者にあることを依頼した。
中谷が担当者にあることを依頼して、その回答を待っている間に加藤が現在仮釈放中の大麻取締法でなぜ逮捕されたのかを調べた。前に調べた時に現行犯逮捕とは書いていなかったと記憶しているが、大麻で逮捕されるときは大体、職務質問をされてその時に持っていた時などの現行犯が多いが、加藤の場合匿名での通報があり一応加藤の家に尋ねて尿検査を実施したところ陽性反応が出たため逮捕されたと記録されていた。
中谷はこの匿名での通報者というのが今回の被害者ではないかと睨んだ。
ちょうどその時、被害者の死体を管理している担当者から連絡が来た。中谷が依頼していたことは被害者の包丁が刺されていたところに包丁以外の錆がついていなかったかというものだった。案の定、ついていたと報告を受けた。その錆は被害者宅の部屋に落ちていた錆と同じという検査結果も出た。中谷が考えたのは戦国武将が好きで犯行にも取り入れたということは刀も用いたのではないかと思ったからだ。
==2時間後==
テレビで速報が流れた有村夫婦が殺害された事件で加藤泰輝容疑者が逮捕されたというものだった。
中谷は管理官に頼んで加藤の取り調べをさせてもらえることになった。
まず中谷は1つ目の謎だった、被害者に刻まれていた㊉の印について加藤は島津義弘が好きだったため島津家の家紋を模しているのではないかという中谷の考察を加藤に話してみたところ渋々認めた。
2つ目の謎の、数日前に起きた別の同じような殺人事件は今回の事件と同じ殺害方法で殺害することによって、捜査を撹乱する為だったということを本人が自白した。
3つ目の謎は加藤に聞いてもわからないかもしれないと思ったが一応聞いてみたところ、加藤は何も知らないと答えた。しかし、中谷は加藤の目が少し泳いだのを見逃さなかった。
最後の謎は、中谷がもうすでに解決していた。被害者が殺害されたであろう時間の5分後に電力が使われていたのはドライヤーを使ったのではないかと考えたそうすることで、死後硬直の進行が早まるからだ。この考察を伝えたところ加藤は下を向いてそうですと答えた。
今回も中谷は大きな手柄を挙げた。しかし、残った謎もある。中谷は加藤を問い詰めたが加藤が自供することはなく事件は幕を閉じた。
中谷刑事解決事件簿 有村一家殺人事件(終)
この作品を最後に一時的にこのサイトでの更新を止めます。カクヨムに専念したいからです。