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#4 山崎五十年 4

警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。


縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……


BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。

その場で出た言い回しにしては上出来だ。 


「いやーそうかそうか、本山さんから聞いてるよ、なんでもウイスキー検定二級の腕前なんだってね」


 

検定の存在自体、俺は知らないし聞いたこともない。だが本物はそんな資格を持っているらしい。


「え、ええ、あまり大したものではないですが」

 

適当に相槌を打つ。


「いやいや狭き門って聞いてるよ。すごいね、楽しみにして来たんだよ今日」

 

「それはありがとうございます」

 

オッサンはどうやらここの常連客のようだ。しかもこのイベント目当てだったことも今のやり取りでよく分かった。しかし今来られちゃ迷惑だ。楽しみにしていたとはいえ開店前からくるか?空き巣の俺に言われたくはないだろうが非常識にも程がある。


「大変申し訳ありませんが開店は四時からですので……」

 

そう言って追い返すことにした。オッサンはさっさと出て行ってもらう。


「あれ、今日は十二時からの日じゃなかったっけ?割と間が空いちゃったから開店時間変わったんだっけな?」

 

 

おっさんは小汚い年季の入った傷だらけの時計に目をやる。

 

 

「ええ、申し訳ありませんが…。」

 

「でもね、もう少ししたら本山さんもくるからね、いつもなら多少フライングしても入れてもらえているからさ、ね」

 

食い下がるオッサン。冗談じゃない、いつもの店員がきたらそこで一発でバレてしまう。 


「そう言われましても私の判断ではちょっと……」 

 

ゲストの身ではという部分を大いに活かし追い返そう。だから開店したしばらく後に来いと言っているんだ。

 

「そうだよね、ちょっと待って」

 

おもむろにおっさんはポケットから出した携帯電話でどこかに電話をかけ始めた。

 

次回へ続く

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