#4 山崎五十年 2
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
四百万円。サラリーマンの平均年収相当かそれ以上。。何件も空き巣に入らねば手に入らない額がこの一回、一本で手に入る。こいつだ。こいつにしよう。嬉々として瓶をリュックに詰め込みあとは何食わぬ顔をしてこの店を出るだけで今日のミッションは完了する。
さあ、と店の入り口のガラス張りのドアに手をかけようとした時、店の外に誰かの影が見えた。薄いカーテンごしに確かに大人の男性のような影が一つ。なんだ?まさかこの店の店員か?時計に目をやると時刻は三時ちょうど。開店の一時間前に仕込みに来てもおかしくないが俺は何度もこの店の開店時間前からチェックしていた。大体三十分前にいつもスラリとした美人が開けに来て、それから四時きっかりに開店する。こんな早いはずはない。しかもガラスの向こうにいるのはどうみてもオッサンだ。じゃあなんだ?おしぼりの回収と納品に来た業者か?
どうする?無人を装ってやり過ごすか?俺は学生の頃から存在感もなかったから息を殺してさえいればわからないはずだ。通り過ぎろ、後で来い。引き返せ。
そんな祈りも虚しくガラスの向こうの男は戸をノックし始めた。
次回へ続く




