#3 悪魔の取り分 14
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
「そうだ、あのボーカル以外にも被害に遭ってた人達がいたな。」
数分前に聞いたことを思い出してそう切り出した。
「ああ、照明担当とバックバンドの子だな。」
「あの時、メンバーは全員いなかったってことか?」
「いや、メインメンバーではなくてサポートのホーンサウンド隊の一人だな。」
そう言われて私は間抜けな声が出てしまい
「え?いたか?そんな楽器担当」
と聞き返した。
「いたんだよ、奈落の下に十数人。ステージ上はメインメンバーしか映らないように配置されていたらしい。そのうちの一人が譜面台を握ったらカミソリか何か仕込まれてたらしくてな。スパッと。」
想像しただけでも力が抜ける。
「それでその子は?」
「演奏できなくはなったが病院に行くほどでもなかったからずっと現場にいたそうだ。」
「そうか。照明の方は?」
「搬入前の大型スタンドライトを切られてしまっただけで怪我はない。ライトも代用品で今日は賄えたと言ってたな」
「壊れた照明は?」
「会場の裏手に置いてたらしい。どのみち使えないからな」
「そうか、その中に蛇を仕込んで持ちこめたかもと思ったが終始会場の外じゃ無理か」
「いい線いってたが照明の中に入れてたら取り出す際に一度バラさないといけない。そこを見られたらアウトだしな」
確かにその通りだ。持ち込むなら素早く取り出せないと意味がない。自分以外に触れられない容器に収められて素早く取り出せて…待てよ。
「なあ、ホーンサウンドの人たちはまだ全員いるのか?」
「ああ、まだ現場から出るなと言ってあるからな」
「さっきの写真、楽器ケースが映っていたがあれ、中は調べたか?」
「いや、まだだ。メインメンバーの楽器だけでも弦楽器は数本ずつ、バックバンド十数人もあるからすぐに全部は見られなくてな」
私はそう言う彼にこう伝えた。
次回へ続く




