#3 悪魔の取り分 13
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
「あの時ステージにいたメンバーの誰かが仕込んだってことは考えられたりしないか?実は誰かとボーカルがすっごく仲悪くて喧嘩してたとか」
何気なくそう聞いてみただけだったのだが
言った場所とタイミングが悪かった。それを聞いていたバンド信者の河口君が横から大きな声で遮ってくる。
「そんなことするわけないじゃないですか!リードギターのダークネス田中曹長は大魔界戦争の時にイービル小倉に命を救われた恩返しでバンドにいるし、サイドギターのマッドネス石橋とベースのブラックプリースト中村は悪魔第三高校時代からの同級生だしドラムのマグマ志村は…志村わあああああっ」
興奮する河口君から遠ざかりながら電話の向こうへ声が通るように再び問いかける。
「というか本番前からカメラって回してなかったのか?そこを再生したらステージ上で犯人がマイクスタンドに本物の蛇仕込む映像くらいばっちり映ってるんじゃ?」
「それがな、ステージには最初から蛇のレプリカが巻かれた状態でマイクがセットされて被害者以外はそこから先、本番まで誰も触れてないんだ」
「と言うことは裏手で仕込んだのか。ステージに運ばれるまではスタンドはどこに?」
「奈落(ステージの下にある空間)の下だ」
一言で彼は返す。
「誰かしら何か目撃証言とかないのか?」
「ないな」
手が詰まった。このまま電話を切りたいが奢りの一杯がかかっている。
次回へ続く




