#3 悪魔の取り分 11
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
「あのボーカルの奴はあの後救急車で運ばれたらしいんだけどな。搬送中に『ライブ中、右手の人差し指に痛みを感じてそれから具合が悪くなった』と言ってな。みたら小さな穴が二つ開いてて血が出ていたそうだ」
「それで?」
「騒然とするステージの裏からなんととある毒蛇が見つかった」
「毒蛇?」
「ああ、テープの破片のついた毒蛇がな。それでこいつに噛まれたんだとわかって中和剤を搬送先の病院で打ってもらったらしい。そこまで重症ではないそうだ。蛇は今こっちで保護している」
やはり先ほどイービルのマイクスタンドから落ちた一匹が動いているように見えたのは錯覚ではなかったようだ。
「その蛇についていたテープと同じものがマイクスタンドから見つかってないか?」
電話の向こうから驚いた声がする。
「よくわかったな、確かにスタンドについていたのとほぼ一致したよ」
「おそらくレプリカに紛れるように毒蛇を生きたまま貼り付けていたんだろう。スタンドを直でイービルが握ることを知っていて。しかもそれは序盤で持ち上げて振り回すことも知っていたから反動で、テーピングしていた本物はフッとんで狭いところを求めて逃げていく。つまり…」
私がそこまで言いかけると遮るように
「そう、俺が最初に言った通りあいつ狙いの殺人未遂ってとこだな」
「だとしたら誰がどうやってそこに?」
「関係者だろうな。多分」
「…」
数秒沈黙の後、彼はこう切り出した。




