♯3 悪魔の取り分 2
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
「先生!今日ももう始めちゃってますね。」
彼だ。
「うん、始めてたね。君が来ないことを祈りながら始めていたね。でも来ちゃったね。」
明らかにトーンダウンしている顔と声を察して彼は笑いながら
「あはは、やだなあ今日は事件じゃないですよ」
そう言いながらカウンターの私の席の隣につき、タブレット端末を取り出してきた。
「たまには私も息抜きにここにきて先生とお酒を楽しもうと思って。観たかったライブのリモート席チケットが取れたんですよ。観ません?」
今やアーティストやシンガー、バンド、演劇も中継で生配信というのはすっかり主流となってしまった。
「なんでもリモートの時代だね」
私がそう返すと
「先生だってここにいながらよく推理するからリモート探偵じゃないですか」
「誰がリモート・プライベート・アイだ」
若干引きながら彼が間髪入れず返す。
「なんでちょっとカッコよくいい直したんですか」
「響きが良かったんだよ。て言うかね、そもそも君が解けないから引退したはずの私が解いてるんだろう。だから私がリモート推理でやってるんだろう」
「そうでした、すみませんでした。それは置いといてライブが間もなくなのでたちあげますね」
都合が悪い展開をさっさと終わらせたいのもあるだろう、彼は端末の電源を入れ配信ページへのログイン手続きをしていく。
次回へ続く




