#1 マッケンジーとディーサイド 2
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
カラコロとレトロな鈴の音を鳴らしながら
店のドアが開いた。現代からこの世界にまた一人誰か迷い込んできたようだ、と思うや否や私の至福の時間は来客の一言で壊された。
「いた、先生やっぱりここだったんですね」
深くため息をついた。口からウイスキーの香りとともに幸せが逃げていくようだった。
「今日位は勘弁してくれないかな」
私がそう返すと男は困り果てながらも愛想笑いを浮かべ
「お忙しい中すみません、けどどうしても先生のお知恵をお借りしたくて」
「ゆっくりしていたいんだけどね。特に今は私しかいない特別な時間なのに」
割と珍しくもないことだが他の客が全くいない時間は特に至福の時だ。
「毎回毎回、君は詰まるとすぐに私のところに来るのがもう癖になってるだろう。いい加減自立しないと。」
私がそう言うと男は罰が悪そうな顔をしながら頭を下げた。
「すみません。ですが今回は本当にお手上げで。先生のお考え伺えませんか」
再び自身の口からウイスキーの香りとともに幸せが逃げていくのを実感しながら
「…いいよ、話してみて」
諦めて話を聞くことにした。
次回へ続く