♯2 甲州 6
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
「なんで三千万なんだろうね?」
「いやー…それは犯人がその額を必要としてるからじゃないですか?」
「そう考えるのが普通だけど…何に使うんだろうね?」
「そこまでは…犯人に聞かないと…けど流石に次にかかってくる電話で『もしもし、何に使うご予定ですか?』とは聞けないですよ」
「いやそれは聞かなくていいんだけどさ」
本気でその質問をしろというつもりはないが彼はそう指示されることを一瞬でも考えたのだろうか。
「消費者金融の借金返済にしては額がデカすぎるし、一生遊んで暮らすには少ないよね。誘拐事件って身代金受け取る時のリスクが相当高いから捕まりやすいんだよ。向こうも必死でやってるはずなのにそれで得られるリターンがなって思ってね」
続けて私はこう切り出す。
「あと電話で犯人は『金が用意できた頃にまた連絡する』って言ってたらしいけど」
「はい、そうみたいです」
「いつ用意できたか、そもそも用意できるかどうかなんて犯人には知る術がないよね本来」
「確かに。いくら資産家でもいきなり三千万なんて用意できるかどうかすらわからないはず…」
「けど犯人はその額を指定してるってことはその家の財政状況をある程度把握してて、ご主人が三千万持っててすぐ出せるって確信してるかもしれないね。例えば投資計画か何かがあってその額がちょうど三千万なのをどこかで聞いたとか」
「あ…」
「そして用意できたことを知ることができる人間、またはその人間と繋がっているのかもしれないね、犯人は。」
「え、ていうことは待ってくださいそれって…」
「身内に犯人か協力者がいるかもしれないね、そこの家」
次回へ続く




