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♯2 甲州 3
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
「君が一番冷静でいないといけない立場なんじゃないのかな。」
私の質問に我にかえったかのようなハッとした顔を…したのかどうかは電話越しではわからなかったが数秒無言の時間が流れ
「…そうでした、私がこんな状態では探偵失格ですよね。暑さもあってのぼせてました」
やや落ち着きを取り戻したのか最初よりもスピードの落ちた話し方で反応が返ってきた。
「一体何があったのか、教えてもらっていいかな」
私の問いかけのあと彼は事件の詳細とここまでの展開を話し始めた。
「はい。実は今私は山梨県のとある場所に来ていまして。ある資産家の方のお宅にお邪魔しています」
「山梨の資産家の家…?」
山梨と言われ思わずグラスの甲州を眺める。
ひょっとしたらこいつが事件を呼んでしまったのかもしれないと私は深くため息をついた。
「そこで何があったわけ?」
「誘拐です。それも身代金目的の」
「誘拐…?」
聞き耳を立てていたバーテンダーのグラスを磨く手が止まる。
「詳しく話してくれないか」
次回へ続く




