#1 マッケンジーとディーサイド 10 (#1ラスト)
警視庁捜査一課から退職し探偵社を立ち上げ、その後引退した男が血なまぐさい生活から切り離された落ち着くBARを見つけたところから始まるストーリー。
縁を切ったはずの世界から舞い込む事件がまとわりつく……
BARから出ずに推理するテレワーク探偵のミステリー。
数日後。
同じバーでハイボールを飲んでいたところにまたカラコロとドアが開く。
「先生!見つかりました、女性が!」
私は予想通りと言わんばかりに首を縦に振る。
「やっぱり彼は持っていたろ?」
「ええ、持っていました。自分名義の墓を。横浜の外国人墓地に」
「じゃあやっぱりそこに彼女は…?」
「ええ、いました。絞殺死体で発見されて爪からは会社役員のものと思われる皮膚の破片が検出されたって警察の知り合いから」
「読んだ通りだね。外国人国籍を所有している神奈川県民ならあそこの外国人墓地で墓を購入できる。おそらく別れ話のもつれか何かから衝動的に殺してしまった彼女の遺体の隠し場所に困った彼はいつか自身が入るつもりで買った墓にしまうことにした。あそこなら遺体をバラバラにする必要もないし、自らが海に身を投げて遺体が発見されなければ埋葬のためにそこを開けられることもない。まして実家がお寺、つまり仏教徒の奥さんがそこに入ることもない…」
「だから『墓まで持っていかねばならない秘密ができてしまった。』なんて書いてたんですね…」
「文字通り『秘密そのもの』が自分の墓にあるんだものな」
「遺体の証拠から役員が彼女を殺害後、自殺を図ったという線で捜査が進むらしいですよ」
「そうか、依頼者のご両親にとっては辛い結果だったけど逃亡する殺人犯の濡れ衣だけは晴らせたね」
そう言いながらマッケンジーのハイボールを飲み干した後、私はバーテンダーさんに空いたグラスを渡しながらこう言った
「チェイサーちょうだい、デ、デー…?」
「先生そこはちゃんとしめてください」
バーテンダーが笑いながら水の入ったグラスを差し出してきた。
※劇中では横浜の外国人墓地は外国人国籍で神奈川県民であることが条件とされていますが実際は条件が異なりますので事前の購入はできません。
次回へ続く




