第11章:初日の出と新たな旅立ち
こんにちは、11話目です! いつも読んでくれてありがとうございます。今回は戦いを終えた4人が初日の出を迎える、ちょっとホッとする回です。アキラの提案で始まる準備から、みんなで雪原を歩いて…そして最後には大事な決断も。笑いあり、感動ありで、4人の絆がまた深まる瞬間が詰まってます。個人的にはアキラの明るさが大好きなので、彼女の決意も見届けてほしいな。感想や応援、気軽に待ってます!
1月1日午前6時45分:初日の出への準備
談話室での鍋が終わりに差し掛かり暖炉の火が弱まる中、各々の椀には残った汁の湯気が立っている。
アキラがぎこちなく立ち上がり、「ねえ!初日の出見に行こうよ~!せっかく元日だし、マジで映えるよ!」と目を輝かせる。
金髪ロン毛を揺らし、子犬のようにはしゃぐ姿に、カンパが「今からかよ…疲れてるだろ」と呟くが、実は彼女の提案に乗り気。マタギが「…山の朝は冷える。防寒しろ」と淡々と忠告しつつ、鍋の残り汁を飲み干して立ち上がる。邦衛さんが「いい考えだ。オレも行くぞ」と笑い、暖炉に最後の薪をくべる。
「私、毛布持ってくるね~!」
アキラがやや足を引きずりながら談話室の隅に積まれた毛布を引っ張り出し、カンパに「カンパっち、これ持って!」と押し付ける。カンパが「多いって…お前も持てよ」と文句を言うが、結局肩に担ぐ。
マタギは自分のジャケットを羽織り、「外はまだ吹雪の後だ。足元に気をつけろ」と冷静に指示。邦衛さんが「じゃ俺が道案内だ」と先頭に立ち、壊れた寮の出口へ向かう。
「邦衛ちゃん、おじいちゃんみたいに頼りになる~!」とアキラが甘えると、邦衛さんが「あは、おじいちゃんだよ~」と笑う。
そうして寮の外へ出ると、雪が積もり、静寂が広がっていた。
「東の稜線が一番見晴らしがいい」
マタギが指さし、4人は雪をかき分けて進む。
「ねえ、マジで寒いんだけど~!でもワクワクするよね!」
「落ち着けよ、転ぶぞ」
「…転んだら置いていく」
「えー!マタギちゃん冷たい~!」
賑やかな3人の会話を邦衛さんは父親の様な微笑みで聞いていた。
1月1日午前7時10分:初日の出の丘へ
4人は寮から少し離れた小高い丘に到着。
吹雪が止み、空が薄明るくなり、東の稜線がシルエットとして浮かぶ。雪に覆われた山々が静かに佇み、冷たい風が頬を刺す。
アキラが毛布を広げ、「ここでいいよねえ!」と座り込み、カンパとマタギも隣に腰を下ろす。邦衛さんは少し離れて立ち、「ほ~、いい場所だな」と目を細める。
「初日の出ってさ、マジで特別じゃん?みんなで一緒に見れるなんて最高だよ!」アキラはニコニコ。
「そうだな…さっきは死ぬかと思ったけど」
カンパは苦笑し、マタギが「…あぁ。生きてるだけで十分だ」と静かに頷く。邦衛さんも静かに頷く。
徐々に明るくなっている空は昨夜の吹雪が嘘の様に晴れ渡り、元旦に相応しい風が吹いている。
マタギが自分の肩を抱くように背中を丸め、白い息を吐いた。
カンパが立ち上がり毛布を手に取るとマタギにかけ、「寒いだろ」と不器用に気遣う。
「……ありがと」
小さく呟き、顔を少し赤らめるマタギ。
「…!!カンパっち、マタギちゃんにデレデレじゃん!」アキラが嬉しそうにからかうと、カンパは「やめろ!」と返すが、その口には笑みがこぼれる。
4人は言葉を減らし、日の出を待つ。ふいに、
「母ちゃんにも見せたいな…」
アキラが呟くと、邦衛さんが「写真撮ってやれよ」と提案。アキラが「おじいちゃん天才!」とスマホを掏るが、寒さで手が震えて落としそうに。マタギが宙に舞うスマホを掴みアキラに渡す。
「おお~!ミッション・イン・ポッシブル!」
「…なんだそれ?」
「あは、調子戻ったなあアキラちゃん!」
「えへへー」
彼女らしい小さなドタバタが、静寂に温かみを加える。
1月1日午前7時15分:初日の出と絆の結実
東の稜線から初日の出が顔を出し、黄金色の光が雪原を照らす。
吹雪の後の澄んだ空に、太陽がゆっくり昇り、4人の顔を温かく染める。
「うわ、マジでキレイ~!」声を上げるアキラ。立ち上がって両手を広げて叫ぶ。
「確かに、すげえな」
「…山が喜んでる」
カンパとマタギが並んで座り、目を細め日の出を見ている。
「いい初日の出だ…」
邦衛さんが呟き4人は光を見つめる。
しばらく初日の出を見ていたが、アキラが3人を振り返り、
「ねえ、みんな大好きだよ!色々…ホントにありがとう~!」
昇った太陽を背に泣き笑いをした。
各々の事情を乗り越え、絆を結んだ仲間が笑い合う。
アキラが「母ちゃんに見せたい~!」と4人で自撮りを提案。邦衛さんが「ええ、若いのだけで撮りなよお」と冗談を言うが、アキラが「おじいちゃんも若いって!笑って!」と強引に引っ張り、カンパとマタギもフレームに収まる。
シャッター音と共に笑顔が残り、アキラが「来年も絶対一緒に初日の出見ようね~!」と宣言。
「そうだな、絶対見よう。」笑って答えるカンパと、
「…あぁ」クールな台詞とは裏腹にしっかり頷いたマタギ。
邦衛さんが「決まりだな」と応じ、4人の約束が初日の出に刻まれる。
1月1日午前8時:アキラの決意と別れ
初日の出を見終え、談話室に戻った4人。暖炉の火が弱まり、朝日が窓から差し込む。
みんなが席に着こうとした時、アキラがふいに切り出した。
「ね、私さ…銀行にお金返してくるよ。」
彼女は自分の金髪を弄り、仲間達を見れずにいる。
「母ちゃんにちゃんと謝って、これからは間違わないで生きるって約束する。」
彼女の声はいつもより静かで、マイペースな明るさが少し影を潜める。
カンパは驚きつつも「アキラ…」「うん、それでいいと思う」と頷く。
マタギは「正しい選択だ」と淡々と認めつつ、「次からは相談しろよ?」と付け加えた。
3人を見た邦衛さんが立ち上がり、笑顔になる
「オレが一緒に行くよ、おじいちゃんだからな。うん、手配するから、任せなさい!」
「…おじいちゃん!ありがと~!大好き!」
アキラが邦衛さんに抱きつき、邦衛さんが彼女の金髪を撫でながら愛おしげに笑った。
1月1日朝9時26分:旅立ち
アキラが荷物をまとめ、寮の玄関で3人に振り返る。
「私、家に帰るね。みんなのこと忘れないよ~!カンパっち、マタギちゃん、これからもちゃんと仲良くしてよね!」
アキラはカンパの手を握った後、マタギに抱きつき…名残惜しそうに離れ
太陽の様に笑った。足の負傷がまだ癒えていないが、マイペースに歩き出す。
「じゃあちょっと行ってくるから」
その後を雪の積もった道をアキラを支えながら出発する邦衛さん。
カンパとマタギが小さく手を振りながら「またな」と呟く。
背の高い金髪が雪原の向こうに消え、学生寮には静寂が戻った。
11話まで読んでくれてありがとう! 初日の出、どうでしたか? 4人で雪をかき分けて見る朝日は書いててほっこりしたし、アキラの「みんな大好き!」には泣きそうになりました。カンパとマタギの微妙な距離感もなんか微笑ましくて。そしてアキラの決意…彼女らしい前向きさにグッと来たし、邦衛さんの「おじいちゃん」っぷりも最高でしたね。別れは寂しいけど、また会える気がするよね。感想や「アキラ頑張れ!」みたいな声、ぜひコメントください。次も頑張ります!次回!最終回!!
12章は4/19夜8時公開です!
アキラは書き始め嫌われそうだなって思ってましたが、僕の中で化けました、大好きです!
よろしくお願いいたします!