表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/17

第10章:仲間と共に立ち向かう

こんにちは、10話目です! いつも読んでくれてありがとうございます。ついに大猪との戦いがクライマックスへ! カンパの覚醒やマタギの気づき、そしてみんなが揃う瞬間が待ってます。戦いの後はほっこりした鍋タイムもあるので、ハラハラした後にホッと一息つける回です。4人の絆が試されて、ちょっと成長も感じられる…かも? 新年の始まりを一緒に楽しんでもらえたら嬉しいな。感想や応援、気軽に待ってます!

午前4時48分:戦いの転機とマタギの気づき


カンパはマタギに肩を貸され、体育館の隅に避難していた。


「すごいな、邦衛さん。」


ブルドーザーの登場でやや安堵したカンパがマタギを見る。だが彼女は消え入るように呟いた。


「もう…良いだろ…。」


「?」


彼女はブルドーザーに翻弄される大猪を悲しげに見つめていた。



猟師の祖父に育てられた彼女にとって、大猪は敵であると同時に山の生き物であり、無益な争いを終わらせたい気持ちが溢れている。


カンパはマタギの表情を見て、山で生きること、みんなが生きていることの本質を感じ取る。


「生きるって楽じゃないな」と先ほど自分で呟いた言葉が、ここで深い理解に変わった。



大猪がゴウゴウと呼気を鳴らし、立ち尽くしている。戦いの終わりが近づく。




その時マタギは視界の端に動くもの見た。


吹雪がやんだ外を見ると、体育館の反対側に小さい猪・瓜坊の群れが現れる。大猪との戦いに気を取られ気付かなかったのだ。



「しまった…!」



親子の間に立ってしまったことに焦る。野生動物の親子の絆を知る彼女にとって、これは最悪の展開だ。




午前4時50分:カンパの覚醒と大猪の投げ


間を置かず大猪が瓜坊を守るため、カンパとマタギへ雄叫びを上げながら今まで以上の速さで突進を開始。


「待って…!」


マタギは訴えようとするが、カンパがすっとマタギを後方に押しやり前に出る。


「カンパ…?」


驚くマタギに、カンパは吹っ切れた笑顔で言った



「…そうだよな、みんな生きてるんだ。」



次の瞬間、身構えたカンパが大猪の突撃を真正面から受け止める。



「ぅぉおおおおおおおおお!!!!!」



野獣のような叫びを上げ、190cmの巨体とメキシカンハーフの筋肉が火事場の馬鹿力を発揮。大猪の角を掴み、やや後退するが不意に大猪の体が浮き上がる。


大猪の猛烈な突進の慣性は消えず、そのままカンパは上方に放り投げた。



軽トラックほどの巨体が宙を舞い、マタギの上を通り過ぎ、体育館の外へ落下。


偶発的な人体工学の産物か、仲間を守る意志の力が起こした奇跡の投げっぱなしジャーマンだ。




上下が分からなくなりしばらく脚を暴れさせていた大猪が慌てて立ち上がり、カンパたちをしばらく見つめる。


カンパ達の危機に冷や汗を流した邦衛さんがブルドーザーのクラクションを「ブオーン!」と鳴らすと、大猪は瓜坊を連れて山へ走り出す。雪に埋もれた足跡が、静かに山へと消えて行った。




1月1日午前6時12分:談話室の安らぎ



大破した学生寮の中で、奇跡的に残った談話室。暖炉の火がパチパチと弾け、オレンジ色の光が木の壁を照らす。


丸いテーブルの中央には大きな鍋が置かれ、白菜、キノコ、鶏肉が煮えたぎり、湯気がふわっと立ち上る。出汁の香りが冷えた空気を温め、4人——木野カンパ、種子島マタギ、柄本アキラ、田中邦衛——がテーブルを囲む。



邦衛さんが鍋奉行として仕切り、「ほーら、うまいぞ。いっぱい食べろな」とスプーンと箸で具を取り分ける。俳優・田中邦衛そっくりの渋い顔に穏やかな笑みが浮かび、その動きは猪の直撃を食らったとは思えない程自然だ。


「私、邦衛さんの料理好きだなぁ。なんかホッとするんだよ~!」


アキラが目を輝かせ、金髪ロン毛を揺らして山盛りの具を皿に盛る。子犬のようにはしゃぐ。


邦衛さんが「おー?おじいちゃんじゃないのか?」とからかう。アキラが「えへへー、おじー…、邦衛さん!」と訂正すると、邦衛さんが「まぁ、おじいちゃんでもいいぞ」と微笑む。


「この人、何でこんな渋いんだ…?」

カンパは感嘆しつつ、箸を手に持つ。


カンパが邦衛さんのカッコよさに気を取られていると、マタギの視線を感じる。


大猪との戦いでは「マタギ」と呼び捨てで自然だったが、日常に戻ると急に気まずさが。


「ど、どうしたの?マタ…種子島さん?」と丁寧に言い直すと、マタギが一瞬ムッとした顔。


「わかるー!さっきまで元日に死んじゃうかと思ってたのに、こんなホッとしちゃうと距離感わかんないよねー?」


アキラが勢いよく割って入る。


マタギが「なんだ、そうなのか?」と微笑みながらカンパに聞くと、彼は「いや、まぁ、えーと…ハイ…」としどろもどろ。年下なのに大人っぽいマタギに、心がざわざわする。「これって…アレか?」と混乱するカンパ。


「だよねー?そうなっちゃうよねえ!邦衛さんはどっちがいい?私なんて呼べばいい?」


アキラがさらに絡む。邦衛さんが「おじいちゃんがいいなあ、よし、みんな食べようかあ」と締め、


4人が「いただきます」と声を揃える。



アキラが子犬のようにはしゃぎながら鍋を食べ始め、カンパが「コイツ、いつも食べてる物が世界一のご馳走みたいだな」と眺めていると、マタギが「カンパ?やっぱりどこか痛いのか?」と心配そうに声をかける。


「あ、いや大丈夫、なんかやっと帰ってきたんだなって」


「ホントそうだよねぇ…おじいちゃん、マタギちゃん、カンパっち、おかえりなさい!」とアキラ。


邦衛さんが「お、ただいま」、


マタギが「ただいま」、


カンパが「ただいま、ってお前いつまで居るんだよ?」


と返すと、アキラが「ええ?ずっと居たい!私ここの子だもん!」と反論。



言いたい事は分かるが、アキラはカンパ達とは学校が違う。特にアキラは解決しなければならない問題を抱えている。日常に帰ってきてカンパは現実的な問題に実感がわいて、やや辟易しながら考え込んだ。


すると、アキラが鍋を頬張りながら「今年は留年したから、来年から同級生だぁ。よろしくね!」と嬉しそうに笑う。


カンパが心配するまでもなく、彼女の中で何か決着はついているようだ。


邦衛さんを見ると、「よかったなあ」と言う様に優しく微笑んでいる。


「このキノコ、マジで優勝ぉ!」とギャルっぽく叫ぶと、マタギが「…ふぁ」と小さく欠伸をして鍋を食べる。

10話まで読んでくれてありがとう! 大猪との決着、どうでしたか? カンパの投げっぱなしジャーマンとか、マタギの葛藤とか、書いてて「うおお!」ってなりました。そして邦衛さんの無事と鍋タイム…もう泣き笑いしながら書いてました。アキラの「同級生だぁ」は彼女らしい前向きさでほっこりしたし、4人が「ただいま」って言うシーンはほんと温かかった。とりあえず初日の出迎えられたけど、これからどうなるかな? 感想や「カンパかっこいい!」みたいな声、ぜひコメントください。次も頑張ります!


11章は4/15夜8時公開です!あと2話!

よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ