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エルダーストリア‐純白彩加の魔勇譚‐  作者: 秋山静夜
第三譚:憎悪爆散の魔人譚
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第90話 それから

「「イリア、ごめんなさい!!」」


 ユリウスとカタリナはイリアに向けて深く頭を下げている。


「突然謝るとかどうしたんだ!? ユリウス、カタリナ、この変な女に何かされたんじゃないだろうな」

 アゼルは幼い姿でユリウスたちに駆け寄り、二人の顔をしっかりと見て心配する。



「失礼な。アタシはちゃんと世の中の仕組みを教えてあげただけだよ。つまりはどっちが上かってことをね」


「発想が動物のソレじゃねえかよ」


 エミルの後ろでそれを聞いたユリウスたちは苦笑いをしている。



「でも魔王様、……で合ってるんですよね? 俺達は今の無力な自分のままでグダグダ考えても仕方ないことは分かりました。まずは少しでも早く父を越え、それから自分が何をするべきか考えたいと思います」


 真っ直ぐな迷いのないユリウスの言葉。


 それを受けてアゼルは、


「──────父を越えて、か。その言葉が出た時点でお前は十分に親孝行者だよ」


 そう、複雑な顔で呟いていた。



「?? とにかくイリア、助けてもらったのにお礼も言わずにすまない。カタリナ共々、本当に感謝している」


 そのユリウスの言葉を受けて、イリアは涙を浮かべて二人を抱き締めた。


「いいの、いいの。私は大丈夫だから。二人が前を向いて歩けるならそれでいいんだから」



「イリア、」

 抱き締められた二人は感じいるようにイリアの名前を口にして、


「イタァァァ!!」

 唐突に叫び声を上げて悶絶した。



「? あれ? ユリウス? カタリナ?」

 イリアの呼び掛けに二人の反応はない。



「だから加減をしなさいって言ったでしょ。イリアは前より魔素を浄化する力の出力が上がってるんだから。多分電流が流れるくらいのショックはあったわよ。まあ、魔王相手なら笑い話ですむけど」

 


「いや、俺も大概痛いんだっての」


「ゴメンねユリウス、カタリナ! ど、ど、どうすればいいかな?」

 イリアは慌ててあわあわとしていた。


「魔王の隣に置いておけばすぐに良くなるんじゃないかしら」

 対するアミスアテナはどうでもいいのか、適当なこと言う。


「俺はパワースポットか何かかよ」



「実際似たようなモノでしょ」


 アゼルは文句をこらえてしぶしぶユリウスたちの側と寄る。

 すると、二人の表情は少し安らかになった。


「……本当に効果があるとか、複雑な気分だな」

 アゼルは複雑な気持ちで彼らの頭を撫でるのだった。


「大丈夫そうで良かった。ふふ、そうしてると親子みたいですね」


「ふんっ、見た目はこいつらの方が年上だがな」


 イリアも一時はどうなるかと思っていたが、ユリウスとカタリナの様子が落ち着いたことで安心したようである。



「さて、と。イリア、はいコレ渡すよ」

 エミルはユリウスたちが落ち着いたのを見計らって、イリアに金貨の大量に入った袋を渡す。



「わあ、エミルさんありがとうございます。無事にお金を引き出せたんですね。とくに問題はなかったですか?」



「うん、()()()()()()だったよ」

 あっけらかんとエミルは言い放つ。



「………………………、何も問題はなかったんですよね?」

 嫌な予感を感じ、イリアは改めて問う。



「?? だから、アタシにとって問題になるようなことは何もなかったよ。詳しく聞きたい?」



「え、えぇ。本当は聞きたくないんですけど、私には知る義務がありそうですから」

 頭を抱えたくなるような事案の気配を感じながらも、イリアは受け止める決意をする。



「それじゃ教えてあげる。代わりにイリアたちもここで何があったか教えてよ」


 そう言ってエミルは実に楽しそうにここまでの顛末を話し始めたのだった。

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