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エルダーストリア‐純白彩加の魔勇譚‐  作者: 秋山静夜
第三譚:憎悪爆散の魔人譚
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第72話 森の中にて

 イリアが外で待っていると、アゼルは何事もなかったようにクロムの店から出てきた。


「あ、アゼル。本当に早かったですね。何かあったんですか?」



「─────別に、簡単な用を済ませただけだ」

 アゼルは素っ気なく答えるのみで、どうやら詳しく語るつもりはなさそうである。



「まあ、あんたの用事なんてどうでもいいのよ。さ、また勝手に解いた封印をかけ直すわよ」

 空気を読まないアミスアテナは早速封印の話を切り出した。



「ふざけるな。またいつあのガキが襲ってくるかわからんのに力を封印されてたまるかよ」

 呆れ顔でアゼルは答える。



「何言ってんのよ。そこらへんのザコにあんたたちが手こずるわけないでしょ」



「アミスアテナ、あの魔人は決して弱くはなかったよ。力を封印したままじゃ今度は私たちが危ないかもしれないから」



「ほらな、イリアもこう言ってんだから諦めろ」



「え~? それじゃその魔人とやらが片付いたらすぐ封印よ。というか次に現れたら今度は私がズンバラリンにしてあげるわ」



「……やっぱりコイツ、あのオッサンのところに置いてきた方が良かったんじゃねえかな」





 そんなやり取りを繰り返しながら、彼らは店の裏手の森へと入り、さらに奥へと進んでいく。



 イリアたちが森に入ってから小一時間ほど歩いていくと、拓けた空間にたどり着いた。



「お、何だここは?」


 なんとそこには崩れた大きな建物があったのだ。


「何か大きな施設の跡でしょうか。この感じだと崩れたのはここ最近みたいですけど」



「それにしても何でこんな森の中に隠すように建てたのかしら? 何かやましい研究でもしてたのかもね」



「まあ、することがあるわけでもないし中でも調べるか。もしかすれば雨風凌げる程度の場所はあるかもしれんぞ」



「そうですね。何か見つかるかもしれませんし」



「ま、止めはしないけど、崩落に巻き込まれたりしないでよ」



 意見の一致したイリアたちは比較的カタチを保っている場所から探索を開始した。



 一時間後、




「……………………」

「……………………」


 結論から言うと、探索の結果イリアたちが得るものは何一つなかった。



 廃墟の中に漂っていたのは血の匂い。多くの血痕がそこらじゅうに見受けられた。


「一体何なんだ、ここは?」


 廃墟となった施設から出てきたアゼルは言葉を漏らす。


 そこは、死の気配の充満した場所だった。


 一体いくつの命が消費されたのか。


 たった一つの死体も見当たらないのに、散乱していた器具や設備を見るだけで、そこで起きていた惨状が目に浮かんでしまう。


「実験場、だったんでしょうね」

 アミスアテナの言葉にも覇気がない。


「誰が、どうして、こんな施設を? それにここにいた人たちはどこにいったんだろ?」



「分からんが、ろくでもない研究をしてたのは間違いないだろう。兵器研究か人体実験か、……くだらない。ま、俺はこんなとこで寝るのはごめんだな」

 


「ええ、そうですね。どこか別の場所を探しましょうか」

 

 イリアたちが再び森の方へと意識を向けたその時、



「魔王!? こんなところに居やがったのか」


 突然、森の方から魔人ルシアが現れる。


「なんだ、さっきの小僧か。……もしかするとここがお前の寝床だったのか?」



「魔王、お前を殺す、殺す、殺ス!」



「いやだ、全然話聞いてないじゃない。何、あれが例の魔人? 顔立ちは綺麗な方だけど、やっぱり魔素の匂いがキツイわね」



「さてと、今度こそは逃がさないように徹底的に打ちのめさないとな」

 アゼルは拳を鳴らしながら魔人の前へと歩み出ようとするが、



「ちょっと待ってアゼル、少し話をしたいの。ねえ、あなたがここの施設の人たちを、手にかけたんですか? それとも、あなたこそが……」

 イリアはまず魔人との対話を試みようとする。


 しかし、


「うるさい、うるさい、ウルサイ、ウルサイ、死ネー!!!」


 イリアの言葉を最後まで聞くことなく遮り、激しい憎悪を撒き散らしながら、魔銃と魔聖剣を手にした魔人ルシアは襲いかかってきた。

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