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はち
「ふわ~!わたしシャボン玉に乗ってる!ふわふわなシャボン玉に乗ってみたかったんだ~♪」
少女は瞳をきらめかせながら、嬉しそうに言った。
「じゃあまた遊びにおいで─って言いたいところだけど、さよならかね。地上の人間がここに来ること自体が珍しいからねぇ…」
「だったらわたし、雨の日に水たまりをじゃぶじゃぶして探す!またここに遊びに来る!」
「ふふ、そうかい。じゃあさよならじゃなくてまたね、でいいかね」
おばあさんはやさしく微笑みながらそう言って、少女に手を振った。
「またきっとここに来るよ!」
少女を包むシャボン玉が、地上に向かってふわふわとのぼっていく。
少女はシャボンの泡の中から、小さくなってゆくおばあさんに手を振り。
「───またここに絶対来るからね」
おばあさんからもらった『雨音』の小瓶をきゅっと握り、そう誓った。




