降雪
「はあ・・・ただいま。」
「ねえ、そのまま入らないで。濡れるから。雪を払ってきてよ。」
「す、すいません。」
玄関の外で、肩に積もった雪を払う。とはいってもほんの少しなのだが。
「改めて、ただいま。」
「ねえ、頭。まだ積もっている。」
「え、あ、はい。すいません。」
再び玄関の外で、頭に積もった雪を払う。
「ただいま。これで入ってもいい?」
「だめよ。ねえ、しっかり払ってきてよ。また肩に積もっているし。なんなら、頭はさっきよりひどいわよ。」
「これ、雪じゃなくて・・・フケ。いや、そんな嫌な顔しないでよ。仕事で疲れているんだから。・・・だめ?・・・そう。分かったよ。」
日は落ち、外は氷点下。
しんしんと雪が降る中、手を洗う前に僕は頭を洗っていた。
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