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客人としておもてなしを受けることになりました

「「「「「おかえりなさいませ。お嬢様」」」」

「ただいまー」


 ロストワールドに到着後、ドロシーちゃんの『お家』に遊びに来ている。

 案内された宅地は宮殿と呼んで差し支えない屋敷だった。

 実家(サイエンス家)もそれなりに裕福な家だったと思うが、ドロシーちゃんの家はそれ以上だ。

 メイドが左右に並び、斜め45度の角度で一同お辞儀している。


「ドロシーちゃん、何者なのよ」

「ははは、すごいね」


 有力の娘だとは薄々予感していたが、まさかここまでとは思っていなかった。

 ドロシーちゃんは、さも当然というような表情をして僕の右手を繋ぎ上機嫌だ。


「お館様はこちらにいらっしゃる。付いてきほしい」


 僕達の後ろにいた兵士長が先頭に出て案内してくれる。

 通された部屋には、石仮面や水晶ドクロといった摩訶不思議なものが飾られていた。遺跡で発掘されたものだろうか?


「ただいま、パパ!」

「おかえり、ドロシー」

「お館様、ただいま戻りました」

「うむ、ご苦労」


 ドロシーパパに深々とお辞儀する兵士長。


「冒険者殿、娘の危機を救ってくれたこと感謝します。インディ・ジョーンズと申す」


 口ひげを豊かに生やしたダンディなおじ様。薄茶の厚手服を着ている。まるで冒険者───探検家の出で立ちだ。

 温厚で知的な風貌、父上バニティ・サイエンスと異なる印象を受ける。


「テオドール・サイエンスと申します」

「そなたがテオドール殿か。我が国でも貴殿の勤勉さを耳にしている。魔法の研鑽に目を見張るものがあるとな」

「えっ、そんな噂があったんですか!?」


 確かに厳しい修行をこなしてきたが、こんなところで褒められるとは思っていなかった。

 兵士長が補足する。


「テオドール殿は噂にたがわぬ人物です。いや、噂以上の実力と人格を兼ね備えています。彼がいなければドロシーお嬢様はこうして無事に戻ってくることはなかったでしょう」

「うん、テオドールお兄ちゃんは強くてかっこいいの。わたし、大きくなったらお嫁さんになるの!」


 ドロシーちゃんのお嫁さん発言にアイラが色めき立つ。そこ、張り合わなくていいからさ。


「そうかぁ。じゃあドロシーは素敵なレディにならないとな」

「うん!」


 インディさんは嬉しそうに笑っている。


「当たり前のことをしたまでです。僕の出来ることをしただけですから」

「うむ、その謙虚さ気に入った。サイエンス家も安泰だろうな」


 インディさんは朗らかに笑う。


「旦那様、それについてなのですが・・・。テオドール殿はスキル信託で外れスキル認定されて実家を追放されたそうです。しかしながら授かったスキルは<ロストテクノロジー>と呼ばれる唯一無二のユニークスキルです。まるで古代遺跡に眠っている未知の技術のようでした」

「親が子供を追放するだと・・・?子供を何だと思っているんだ!!」


 突如憤るインディさん。

 ドロシーちゃんは悲しそうに質問する。


「パパも私が外れスキルを授かったら、『ついほー』しちゃうの?」


 インディさんが腰を屈めてドロシーちゃんと目線を合わせる。


「そんなことするわけないじゃないか」


 インディさんがドロシーちゃんを抱きしめると、安心したようにこわばりが収まった。落ち着いたことを確認するとすくっと立上り僕に目線をあわせる。


「テオドール君、大変だったね。暫くは自分の家だと思って我が家に滞在しなさい。君たちは我が家の客人だ」

「───はい。よろしくお願いします」


 インディさんから実の父親以上の愛情をいただいたような気がする。

 アイラは黙って笑っていた。

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