新スキルゲット 監視衛星
負傷していた兵士達の治療が完了した。
傷が完治するまでは時間はかかるかも知れないが、英気を養えばまた普通に暮らせることだろう。
「君のお陰で部下死なせずに済んだ。感謝する。ところで名前を教えてくれないだろうか」
兵士長が尋ねてきた。
「テオドール・サイエンスです」
「君がサイエンス家の嫡男なのか」
家名を強調されて、顔がこわばるのを自覚する。
────ああ、この人も僕のことを外れスキルの無納者だと嘲笑してくるのかな。
〈ロストテクノロジー〉を持っていたとしても心が強くなるわけではない。
「噂なんて本当にアテにならないな。テオドール君程の実力者を追放するなんて嘆かわしい話だ」
兵士長が心底残念そうに声をかけてくれた。他の兵士達も同調する。
「まともに判断もしないで外れスキル判定したんだろ」
「あんな強力なスキル見たことないよな」
「そもそも、こんな謙虚な冒険者知らねえよ」
誰も彼もが僕のために親身になって接してくれる。
実家を追放されてから初めて温かい言葉に涙ぐむ。色眼鏡抜きで僕のことを評価してくれるなんて・・・。
「テオドール君達はこれからどうするのかね?」
「ロストワールドへ向かおうと思ってます」
「それは好都合。我々もロストワールドに帰る予定だ。是非、君達を旦那様に紹介したい」
「お兄ちゃんがお家に来るの?やった!パパとママにお兄ちゃん自慢したい」
お嬢様こと、ドロシーちゃんが、僕にべったりくっついて離れない。
そんな姿を見てアイラが一言。
「テオ、諦めなさい。ドロシーちゃんのお願い断れる?」
「お兄ちゃん、遊びに来て?」
ドロシーちゃんが目をうるうるさせながら上目遣いにこちらを見つめる。
「お兄ちゃん遊びにいくから安心して。ね?」
「やったー!」
一応、兵士長さんに念押ししておく。
「ご挨拶に行くだけですからね?僕はただ人として当たり前のことをしただけなんですから」
「その謙虚さが好ましい。ますます気に入った!────後、ボストロールの魔石はテオドール君がもってゆきなさい。売れば高値で取引されるはずだ」
大型の魔石を押し付けられた。
当たり前のことをしただけなんだけどな。
実家から追放はされたけど、困っている人を助けるために賢者を目指していたわけなんだから。
「ふふふ、テオは変わらないわね」
「何が?」
「<ロストテクノロジー>を手に入れても傲慢にならない。道中を同行するのは、また襲われたら大変だからだよね?」
「そりゃ一緒に向かうさ。ここで知り合ったのも何かの縁なんだから」
アイラに見透かされたようで何だか恥ずかしい。
───それよりも何で平原にトロールが、しかもボストロールがいたのだろうか?
本来トロールは山奥にいるモンスターだ。冒険者ギルドに到着したら報告した方がよいかも知れない。
『戦闘勝利により、ロストテクノロジーがレベルアップしました。使用可能スキルが追加されました』
例の声が頭の中で聞こえてくる。
スキルを確認すると・・・あった!
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LV4
使用可能テクノロジー
▼投石▼
ガトリングガン
▼パワードスーツ▼
▼衛星監視▼(NEW)
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『衛星監視』・・・なんだろう?
衛星というものが何なのか分からないが、監視という言葉が含まれているから遠見の術なのだろうか?
「テオ、どうしたの?ぼーっとしちゃって。何かあったの?」
小声でアイラに告げる。
「・・・新しいスキルを覚えた」
「嘘っ!・・・これで4つ目だよね?スキル4つ同時保有なんて神話レベルの話よ」
神話レベルなんて大げさな。・・・流石にそこまでのスキルではないよな?




