外れスキル『投石』が外れスキルじゃなかった件について
アイラと冴えない冒険者を仲裁するために外れスキル『投石』を使用したら冒険者が壁にめり込んだ。
僕の知ってる石投げではない。
衝突時の音は『ポカっ』を想像していたのに『ドカァッ!!!』だ。小石が当たったはずなのに、まるで巨石が当たったような反応だ。
軽く怯ませて追い払えればそれでよかったんだけど。────まぁ、結果的に目的は果たせているようだが。
冒険者達は僕をバケモノを見るように畏怖の視線を送ってくる。ぷるぷる震えている。
「い、今のは何だ」
「『投石』だけど・・・」
「「嘘付け!!!」」
残りの冒険者がハモる。
「本当にただの投石なんだけど・・・」
確かに想像していたものとは違う。てっきり自分で石を投げるスキルかと思ったら全自動だし、射出された石が速すぎて見えないし。ガトリングガンと違って溜めの時間もないし一概に石投げはガトリングガンの下位互換ではないような気がする。
僕は<ロストテクノロジー>のことを過小評価しすぎていたのかも知れない・・・。
「あんな投石見たことないぜ。トロール(食人鬼)だってあんな投石出来ねえぞ。賢者の息子が外れスキルを引いたんじゃなかったのか?───っ追放されたフリをしてたんだな!!」
「本当に追放されたんだけど・・・」
「極秘依頼を遂行中だったわけだな。お、俺達は邪魔するつもりはないんだ。だから見逃してくれ!たっ、頼む」
土下座する冒険者二人組。残りの1名は相変わらず壁にめり込んでピクピクしている。
冒険者達の誤解を解きたいと思ったけど、人の話聞かないしこのままでいいか。そもそも彼らが突っかかってきたのがいけないわけだし。
「もうどうでもいいから、早くいなくなってくれないかな。みんなの邪魔になってるから」
「「「テオドール様、お騒がせしました!!!」」」
冒険者3人組が風の如く去る。
慌ただしい人達だ。
────周りを見渡すと僕と目線を合わせるのが避ける人と、目を丸くして見つめてくる人で別れている。・・・避けてる人達はやましいこと考えていたのかも知れない。別にいいけどさ。
「テオ・・・、石投げが原因で追放されたのよね?こんな強力なスキル見たことないわよ・・・」
アイラもポカンと僕を見つめる。
「おじ様の魔法より強力なんじゃないの・・・?」
「いやいやいや、それはないでしょ。・・・多分」
火力は間違いなく父上の方が強力だ。但し、スピードはこちらが優勢だと思う。
とりとめない考えが浮かんでは消えるが考えるのを止める。
そもそも父上の本気を見たことがないわけだから。僕よりも多く魔法をマスターし、より強力に行使出来る。それが父上だ。
ん?
脳内でまた不思議な声が聞こえてくる。
『戦闘勝利により、ロストテクノロジーがレベルアップしました。使用可能スキルが追加されました』
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LV3
使用可能テクノロジー
▼投石▼
ガトリングガン
▼パワードスーツ▼(NEW)
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パワードスーツ?
また見慣れないスキルを取得した。
スーツということは衣服なんだろうか?───パワーだから力の衣服?
確かにそういう古代装備はごく偶に算出されるけど、僕は後衛職なんだけど。僕でも役立てること出来るのかな・・・?
とりあえず今使うのはやめておく。
「テオ?ポカンとして、どうしたの?」
「また新しいスキルが増えた」
「え!?すごい!!どんなスキルなの?」
「後で説明するよ。とりあえず馬車に乗ろっか」
「あ、そうだね」
普通、スキルは1人1個しか使えない。
例えば、<賢者>を取得することによって、攻撃魔法と回復魔法が使える資質が開花される。
───自分で言うのも何だけど、スキル取得前に攻撃魔法と回復魔法を使えるようになるのは極まれだ。厳しい修行の成果だ。
<紅蓮の賢者>である兄さん(ルーズ・サイエンス)だってスキル取得前は攻撃魔法しか使えなかった。
極少数ではあるが、スキルを2つ取得した天才もいる。そう、父さん(バニティー・サイエンス)だ。
父さんは<高位賢者>と<連続魔法>の2種類を取得している。
誰よりも多くの魔法を覚え、誰よりも沢山魔法を唱えることが出来る。
裏打ちされたスキルによって宮廷魔術師を任されている。
ちなみにスキルを3つ持っている人物はただの一度も聞いたことはない。
<ロストテクノロジー>は僕にポンポンと新しいスキルを習得させている。
もしもレベルが上がる度に新しいスキルを覚えるとしたらヤバすぎる。なるべく口外しない方がいいだろう。
<ロストテクノロジー>は外れスキルではない。
この秘密を胸に仕舞うことにした。




