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ヒロインと二人旅開始

「アイラ無事か?」

「えっ、ええ、お陰様で」


 怪我がないかアイラを観察すると、所々にかすり傷がある。


「怪我してるじゃないか!『ヒール』」


 簡単な傷なら僕でも癒やすことが出来る。回復魔法を唱えるとみるみる内にかすり傷が消える。


「この位大したことないわ」

「そういう所が君の悪い癖だよ。君は女の子なんだから怪我が残ったら大変じゃないか」

「────っもう!」


 何か言いそうになった後に頬を膨らませて不貞腐れている。

 いつも冷静沈着なのに、こうして二人きりになると急に駄々をこねるの変わらないな。世間ではその凛々しい姿から姫騎士と呼ばれている。


「ところでアイラ、こんな所で何してたんだ?」

「それはこっちの台詞よ!テオが外れスキル引いたって聞いたからいても立ってもいられなくなって飛び出してきたのよ!酷いことされなかった?」

「えっ・・・」


 アイラが本気で心配してくれている。そんな彼女の優しさに胸が一杯になる。


「───ありがとう。嬉しいよ」

「ちょっ、いつもの軽口はないの!?真面目に答えた私が馬鹿みたいじゃないの!?」


 アイラは顔を真っ赤にしてわちゃわちゃしてる。


「本当に君は変わらなくて嬉しいよ。───話を聞いてるなら話は早い。僕は外れスキルを引いて家を追放されたんだ。・・・君と一緒に王家に仕えることは難そうだ」


 心の中で、だからお別れだと告げる。

 ずっと一緒にいられると思っていたけど、そんなことはなかった。彼女には僕より相応しい人と巡り合うのだろう。外れスキル引いた僕ではなく・・・。


「外れスキルを引いたから追放なんて許せないよね。だからさ、一緒に冒険者として功績積んで見返えそうよ。私達の功績が無視出来ない程溜まったら堂々と王都に帰ろ?そうすれば誰もテオに文句言える奴なんていなくなるわ!」

「え・・・?」

「だからね、私飛び出してきたの。ほら!!」


 アイラの鞄に金銀財宝がびっしり詰まっている。


「ちょっ、これって・・・」

「これだけあれは生活に不自由しないでしょ?さっ、私達を知らない街に行こうよ!」


 いや・・・、これってまずくないか?

 王国屈指の令嬢を誘拐したことになるぞ。


「大丈夫よ。父さんには伝言残してあるから!!」

「ええっ!?」


 伝言で許されると思ってないから伝言したんだろうな。

 これじゃ姫騎士じゃなくておてんば姫だよ。


「もう一度言うけど、僕は外れスキル持ちだぞ。君の未来に傷がつく」

「わ た し は、テオがいいの!テオと一緒に王家に仕えたいの! いい?あなたは私と一緒に冒険するの!分かった?」

「でも・・・」

「ぼーけん!!!」

「・・・分かったよ。君は本当に変わらないな」


 そんな君に何度振り回されてきたことか。

 彼女だって自分の立場を分かっているはずだ。まさか本当にワガママだけで家を飛び出したわけではないだろう。

 ───それに僕の<ロストテクノロジー>もどうやらただの外れスキルではなさそうだ。<賢者>程優れたスキルではないかも知れないけどそうそう遅れはとらないんじゃないだろうか。


「危ないと感じたら君を実家に返すからな。・・・ちょっとだけだぞ?」

「行こう!」


 アイラが満面の笑みを浮かべた。

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